頼ることのハードルを下げる
筆者の学生時代、恋バナになると異性が好きであることが前提に会話が進み、それに対して自分だけが違うことを異様なものとして捉えていました。
結局、先生や両親にも告白しないまま学生時代を終えたのは、相談したら受け入れてもらえないと思ったからです。
ですが、一人の友人に自分のことについて話したとき、「へぇそうなんだ!どんな人を好きであろうと、あなたはあなたで変わらないよ」と言ってくれて、一気に肩の荷が落ちたように楽になれました。
セクシュアルマイノリティであることで悩みを抱える当事者は、周りに助けを求めることにハードル高く感じ、つい塞ぎ込んでしまいます。
そんなとき、一人でも話を聞いてくれる人がいたら、救われることを身に染みて感じました。
他者に頼ることは、同時に自分自身を楽にさせる治療薬となることもあり、悩みを抱えた自分に弱みを感じる必要はありません。
頼ることのハードルを下げるために、たとえば学校で相談所を設置することも有効です。
最近では、「インクルーシブ教育」という言葉があるように、さまざまな違いをもつ子どもたちが、誰一人排除されない教育を普及させようとする動きがみられています。
インクルーシブな視点をもつカウンセラーやサポートチームを導入することで、セクシュアルマイノリティ当事者もほかの学生と同様、尊重されるべき存在であることを前提に、「いつでも相談できる人がいる」と安心感をもつことにつながります。
ICT教育の活用
先ほどもお伝えした、インクルーシブ教育を実現するにあたって、どのように性を伝えていくかが重要です。
「タブー視される性」ではなく「身近な性」を伝えるには、「ICT教育」とよばれる教育のデジタル化を活用することもできます。
いまやデジタルは子どもにとっても身近なもの。スマホ一台でさまざまな情報を入手することができます。
動画を通した性教育の提供や、生徒に向けてLGBTQにまつわる映画作品、YouTubeを紹介するなど、若者世代が得意とする分野からアプローチすることも有効です。
セクシュアルマイノリティと聞くと、珍しいものとして認識されがちですが、実は周りにいるかもしれません。まずは学校から、誰もが素晴らしい存在として排除されない環境づくりに励むことが望まれます。
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