夏に厚着をする母。厚着を防ぐ対策と熱中症対策は?
認知症の家族が夏でも厚着をする場合、どのような対策をすればよいのでしょうか?私が、母に行なった対策をご紹介します。
夏でも厚着をする母に「きょうは暑いし、熱中症が心配だから薄着になろう」と何度も言うと母は、かたくなに「大丈夫!」と拒否します。
家族が無理やり「薄着になるように」と説得することは、ストレスや不安を感じさせる要因となり、かえって逆効果となるのでおすすめしません。
そこで、私が行なった対策でいちばん効果的だったのが、冬の洋服を本人の目のつかないところにしまっておくことです。
洋服をしまうときも勝手にしまうのではなく、「衣替えをしよう」などといって一緒に整理するのがよいでしょう。
以前、母の見てないところでこっそりと冬物を片付けたことがあったのですが、それに気がついた母が「なに勝手にしまっているの?勝手に洋服をしまわれるとわからなくなるじゃない!」と怒り出したことがありました。
時間はかかりますが、本人の納得のいくようになるべく一緒に冬服をしまうのがベストです。
それでも、母は「寒い」と感じると、片付けた冬の洋服をひっぱりだしてきて着ていることがあります。冬服をしまう作業は一緒にしても、しまった冬服を置く場所は、なるべく本人が探さないような場所にこっそりと置くとよいでしょう。
また、冬服をしまう箱は中身がわからないように段ボールなどにしまっておくこと、万が一寒がった場合のことも考えて薄手のカーディガンは夏服と一緒に置いておくようにしました。
このように、夏服だけを置くようにしたことで、夏場に厚着をすることはなくなりました。
また、洋服だけでなく、布団にも注意が必要です。母は、夏でも冬の毛布や布団を使っていたので、冬の布団も片付けるようにしました。
次に夏に注意が必要な熱中症対策として心がけたことについてお伝えしたいと思います。
- なるべく水分を摂るように気にかける
- 部屋にいるときは、冷房をつけているか確認する
夏場に「高齢者が部屋のなかにいたにもかかわらず、熱中症で亡くなってしまった」というニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか?
認知症の方のみに関わらず、高齢者はのどの渇きを感じにくいことやトイレの不安から水分を控える傾向になります。
また、加齢にともなって汗をかきにくく、暑さを感じにくくなることから冷房などもつけない場合が多いのです。
それに加え、認知症の場合は、夏に冬のように服を着こんでいるということになると余計汗をかいて熱中症になるリスクも高まります。それが、死亡事故に繋がる場合もあるのです。
特に一人暮らしの高齢者や認知症の方は自分ではそういうリスクが高いということに気づけず、適切な対策をとることができません。その場合は、家族の見守りが必要になってきます。
家族の見守りが難しい場合は、介護サービスを利用するなど対策が必要です。
私の母も現在74歳ですが、年を重ねるにつれてトイレに行く回数が増え、その不安から水分を控えるようになってきました。
部屋で過ごしているときは、トイレにすぐ行ける安心感からか、さほど水分を控えるということはないのですが、外出先では、トイレの不安から水分をあまりとろうとしません。外出時は、母にこまめに水分をとるように声をかけています。
また、冷房に関しては、昔はさほど冷房をつけなくても平気だった高齢の方も多く、熱中症警戒アラートがでていても冷房を控える方が多くいるのです。
私の母も冷房を控える傾向にあります。
私が母の部屋に行って冷房がついているか頻繁に確認することが難しいため、現在は、入居している高齢者住宅の見守りサービスでこまめに冷房がついているか確認をしてもらうようにしました。
大切なのは、認知症の方が寒がる原因を理解すること
今回は、認知症の方が「寒がる原因やその対策」についてお伝えしました。
対策をするうえで大切なのは、認知症の方が寒がる原因を理解することです。
「認知症の進行により体温調節機能などに支障がでること」「認知症による不安から着こむことで安心する場合がある」「認知症にかかわらず、高齢になると筋肉量の低下することで体温が低い傾向にある」ということを理解しましょう。
そして、対策としてできることは、次のようなことです。
- 季節に応じた服のみ本人の手の届くところに置いておく
- 季節外れの服は、認知症の方が探さないような場所にしまっておく
認知症が進行すると口でいくら説明しても難しいことが多いので、危険だと思われるモノや(今回は冬服)を片付ける、目のつかないところに置くということがいちばんの対策になります。
この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。
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