こんにちは。韓国在住歴4年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
突然ですが、ユン・ソクヨル韓国大統領の「この野郎ども」発言事件をご存じですか?日本のニュースでも大々的に報じ出られていたそうなので、聞いたことがある方も少なくないのでは…と思います。
物議を醸しているのは9月21日に実施された国連総会の後、バイデン大統領との短い会話の後にイベント会場を去る際の発言です。
ユン大統領は自国のパク・チン韓国外交部長官に対し、「“この野郎ども”が議会で承認するのを拒否したらなんと恥ずかしいことか」と語った のです。
韓国国内のメディアは当初、パク韓国外交部長官は米議会が世界的なイニシアチブの資金調達に関する法案を可決しなければバイデン氏が恥をかくと発言したと報道。これを受けて韓国国内の野党は、パク韓国外交部長官がバイデン大統領を侮辱し、韓国をおとしめたと非難しました。
ユン大統領の報道官は、ユン大統領が言及したのはバイデン氏ではなく、韓国議会だと説明しています。このニュースは日本や韓国だけではなく、ほかの国でも放送されました。(参考:ロイター通信)
きょうは周りにいる韓国人のリアルな反応からSNSの過激派、そして張本人のユン大統領の反応までじっくり解説します。
支持率に影響は?失言に対する韓国人の反応
どこの国もそうだと思いますが、韓国にも「保守派」「リベラル派」がいます。
いまのユン大統領が「保守派」で、ムン・ジェイン前大統領、そして今回の大統領選の際僅差で敗れたイ・ジェミョンさんが「リベラル派」です。
韓国は年齢関係なく政治意識が高い人が多く、普段の生活でもよく政治について論議をしたりします。
社会マナーとして普通は過激な発言をしないですが、ついつい盛り上がりすぎてお酒の席では喧嘩が勃発することもあるんです。大統領選の前は酒場に行くと、よくおじさんたちが政治について大きな声で言い争っていました。
どの政党を支持するかは人それぞれですが、年齢、性別、出身地によってだいたい予想できたりします。
大統領選では各地域別で投票結果が発表されるのですが、その結果を見ても「ああ、この地域は保守派が多いんだな」「この地域はリベラル派が多いんだな」と知ることができます。興味がある方は大統領選挙の発表のニュースを見てみてください。
話が逸れてしまいましたが、今回の大統領の失言に対して支持する政党によって多少の差はあれども、多くの意見が「同じ韓国人として恥ずかしい」「あれでは外国に無視されても当然だ」「発言のせいで外交に影響が出るかも…」でした。
ユン大統領の発言を肯定するような人は、少なくとも筆者の周りには一人もいませんでしたね。
あるリベラル派の人は、「ユン大統領には国を背負っているという自覚がない」「大統領をやめろ」とデモを起こしたりもしました(韓国ではどの大統領のときもあるのですが…)。
普段は保守的な記事を書く新聞社でも、今回のことを非難する記事を発表。ある保守党系新聞社は、「30分追いかけて48秒待って、そして大事な正面で事故を起こした。国格を顧みた外交」「恥ずべき場面として記憶されるであろう」と辛辣な記事を出しました。
冒頭でも触れましたが、一部の極保守派やユン大統領の側近たちは「そんな言葉は話していない」「次のスケジュールの確認をしていただけだ」「言及したのはバイデン氏ではなく、韓国議会だ」と言及。実際に音声分析の専門家を呼んで「音声分析的にもそう言っているようには見えない」との証言も出しました。
ユン大統領は、「まったくの濡れ衣だ」とし、ユン大統領の発言にテロップを付けて報道した報道局を起訴。ちなみにいままでの大統領は、どんなに悪口を言われても、どんなに濡れ衣を着せられても訴えたりしませんでした。
現在、ユン大統領の支持率は30%前後ですが、その失言の際は24%まで下がりました。「まだ就任したばかりの大統領なのに、この先どうなるんだか…」というのが、韓国に住む日本人筆者の正直なところです…。
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