再度の離婚調停は…
「一度目の離婚調停は、私が申立人で夫は相手方でした。
夫のモラルハラスメントがひどく、家事も育児もやらないのにお金だけは自分が管理したがり、普段の買い物も美容室に行くのも常に夫に報告してからお金をもらう状態で。
服を買いたいと言えば『無駄遣いだ』で終わらされ、子どもの服もリサイクルショップに連れていかれ、『せめて靴は新品を買ってあげたい』とお願いしても『もったいない』と返されて、本当に悲しかったです。
市外に住む実家の両親に話すと、最初は極端な夫の態度を信じてくれなかった父親も穴の空いたスニーカーを履く息子を見てやっと理解し、離婚を勧められました。
いますぐ離婚の話をしたかったけれど、それを言うとまた夫はまた大騒ぎするだろうからとひとまず子どもを連れて実家に避難、私が出ていったことを知った夫は案の定怒り狂って実家までやってきました。
『ふざけるな』と玄関で怒鳴る夫を見て両親はやっと異常さを理解し、『帰らないなら警察を呼ぶぞ』と言ったら渋々出ていった夫を確認してから今後について話し合いました。
私はインターネットの記事で離婚調停について知っていたので、これなら夫と顔を合わさずに離婚を進められると思い、すぐに申し立てました。
ところが、期日になっても夫は家庭裁判所に現れず、私の父親が電話をしても無視、裁判所からも連絡をしたけれど『音沙汰がない』と言われました。
次の期日を決めたときは、夫から裁判所に『体調不良のため行けない』と電話があったそうで、延期したもののその一月後の三回目も夫は風邪を理由に調停を欠席。
裁判官から『このままでは不成立になります』と言われてショックでしたが、これも夫の嫌がらせなのだろうなと思います。
私もストレスがきつくて体調の悪い日が続いていたので、仕方なく不成立をお願いしました。
それから2カ月後、実家に届いたのは夫が申立人となった離婚調停の呼び出し状です。
おそらく夫は自分が相手方になったのが嫌で、離婚を申し出た側になりたかったのだと思います。
私自身はそんなことはどうでもよく、とにかく離婚したい一心で当日は両親と一緒に裁判所に向かい、調停委員のお二人と話しました。
夫は自分のモラハラについては『自分が稼いだ金なのだから、管理するのは当たり前』という主張を変えず、穴の空いたスニーカーを子どもに履かせることも『俺の子どもなのだから従わせるのがしつけだ』と言ったそうで、それを報告する調停委員のかたの表情がかなり暗かったのを覚えています。
本当は慰謝料を請求したかったけど夫は絶対に拒否するだろうなと思い、対等な財産分与と裁判所の算定表通りの養育費で離婚を決めました。
自分が申立人になった以上夫は離婚するだろうと思っていたけれど、それでも成立まで一年近くかかり、精神的にも肉体的にもかなりつらかったです。
それでも、調停がなかったらこんな夫とまともに離婚の話し合いなどできるとは思えず、財産分与や養育費をしっかり決められたことは本当にうれしいですね。
いまは実家の両親と息子と、のびのび暮らしています」(女性/35歳/サービス業)
離婚調停を欠席することは、悪質と認められた場合は過料を払うことにもなるため決して良い手ではありません。
それでも自身のプライドを曲げられない配偶者は、裁判所にとっても印象が悪くなる一方です。
どちらが申立人であれ目的は離婚の成立であり、嫌がらせに負けず向き合ったことで養育費などきちんと取り決めができたのは、本当に良かったと思います。
配偶者の考え方が異常で誠実な話し合いが望めない場合など、別居しながらの離婚調停も選択肢の一つ。
調停は確かに心身ともに多くのエネルギーを要しますが、だからこそ後悔のない離婚を手にできるともいえます。
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