「ある日突然私が死んだら…娘はどうなるの?」Bさん/65歳
「一人娘ですが別に結婚しろとは思いませんし、孫が生まれないのならそれはそれで構わない。娘の決めた人生なら積極的に応援してあげようと思っていたのですが…」
悩みを打ち明けてくれたのはBさん(65歳)。今年39歳になる娘さんについて話してくれました。
「娘は一度も一人暮らしをしたことがありません。その理由は、漫画家になるという夢を持っていたからです。私も娘の夢を応援してあげたかったので、短時間のバイトをしながら賞に応募する娘を懸命にそばで応援し続けていました」
そしてある日、娘さんに転機が訪れます。
「大学を卒業し、賞に応募し始めて2年経ったころ。読み切り漫画を掲載できることになったよと報告を受けました。
大喜びしたのもつかの間、評判がよくなかったからという理由で、また振り出しに戻ってしまいます。
また頑張れば大丈夫だよと、私も夫も娘を励ましたのですが…娘は『向いてないのかも』と、頑張るのをやめてしまいました」
相当ショックだったのだろうと、落ち込む娘を心配したBさん夫婦。
「いまはそっとしておこうと、私たちも見守ることに徹しました。しかし…それから気づけば5、6年が経っていたんです。
漫画家になるために揃えた画材などは子ども部屋の隅でほこりをかぶり、娘は月収8万円のフリーターのまま。あっというまに娘は30歳を迎えます」
そんなある日、Bさんは娘さんから「夢ができたよ」と報告を受けます。
「やっと前を向いてくれたのかと思い話を聞くと、今度は『YouTuberになる』と言い出しました。しかもすでに、バイト代をつぎ込んで配信機材をコツコツ買いそろえたと言うんです」
さっそく娘さんは配信活動を開始しますが、そんなにうまく軌道にのれるわけではありません。
「5年経っても、娘はYouTuberとしてしっかりとした収入を得ることができませんでした。しかも配信をするためにバイトの時間を減らしたので、月収も減っています。もともと家に生活費として4万円ほど入れてもらっていたのも、払えなくなっていました」
さらに…
「娘は『YouTuberも向いていなかったんだ』と言って、配信活動もやめてしまいました。それからは『やる気が起きない』という理由で、短時間のバイトと家の往復ばかり。月4万円入れてもらっていた生活費は月1万円にまで減りました」
最初は娘の夢を応援しようと、献身的にサポートすると決めたBさん。しかし歳を重ねるごとに、だんだんと献身的なサポートが難しくなっていきます。
「このまま娘を養い続けると考えると、経済的に苦しいです。だから娘に『もう少しバイトの時間を増やすなりして家に入れるお金を増やしてくれないと、あなたをこのまま家に置いておくことはできない』と正直に話しました。
すると…娘は『私が邪魔だと思ってるんでしょ!最低な親だ!』と反論。結局バイトを増やす気はないようです」
夢を前に挫けてしまったとはいえ経済的に自立せず、家にお金も入れず、実家の子ども部屋で暮らし続けるBさんの娘。
Bさんは自分たちの死後、娘が一人で生きていけるのか心配で仕方がないと話します。