20歳年上の夫と高校1年生のマイペース息子と暮らしている、アラフィフ主婦ライター・塩辛いか乃です。
今年で49歳の私と、すでに70歳を迎えた夫。わたしたち年の差夫婦のリアルライフをお話しします。
さて、夫は20歳年下のわたしと結婚するだけあって「若い女性が好き」です。
今年49歳になったわたしは夫より永遠に20歳年下なわけで十分に若いはずですが、夫の言う「若い」は、そういうことじゃないそう。
最近は若さやルッキズムなどの発言にシビアな風潮ですが、ここであえて言わせていただきたいのは、いくら世間がそうなっても「好きなものは好き」で、価値観はなかなか変わらないということです。
ということで、そんな若い女性が好きな夫をここではあえて受け入れ、「典型的な化石オヤジ」と思いながら読んでいただけたら幸いです。
「悪気」は一切ない
基本的にわたしたち夫婦は、お互いにあまり干渉しあいません。特に芸能人などに関しては、誰のファンでもやきもちを焼くことはありませんし、「ふーん」という感じです。
そして夫は、筋金入りのテレビっ子。テレビが登場したのが昭和28年。夫の生まれた年も昭和28年。テレビ元年生まれに恥じないテレビ好きで、特に地上波のテレビドラマはほぼ網羅し、俳優やタレントなどにとても詳しいのです。
昔「可愛い!」と言っていた20代の俳優が年齢を重ねた姿を見て、夫はよく「〇〇ちゃんもおばちゃんになってきちゃったなー」などと呟きながらテレビを見ています。
おばちゃんと言ってもまだ30代だったりするので、アラフィフに差し掛かるわたしからすると「おばちゃん呼ばわりするなよ」とイラッとします。
そして「だいたい、70歳におばちゃん呼ばわりされるなんて」と、急に世の中の女性代表になった気分で夫にツッコミを入れるのです。
夫のなかではまったく悪気はなく、とにかく彼のなかでの「若い」は、「自分が何歳であろうと永遠に30代前半まで」という価値観のよう。
だからどうという気はないそうなのですが、夫のこの発言を聞くたびに、ときどき議員などがやらかす女性蔑視の失言を思い出してしまいます。
失言が多い世代は“ピチピチギャル”などという言葉も当たり前にあり、“ノーパンしゃぶしゃぶ”といういまでは信じられないような女性サービスがあった時代を生きている世代。
いくら時代が違うと言ってもしっかりと当時の文化が刷り込まれ、いまさら認識を変えようと思っても無理なんだろうなと妻のわたしは達観しています。
同時に、うちの夫は議員じゃなくてよかったなと思うのです。家で言うだけなら炎上しませんし、わたしの腹にとどめるのみなので。
年齢を重ねてわかった、「若い人」の魅力
自分はなぜそんな、若い女性好きの男性と結婚してしまったかというと、ずばり「自分の若さに気づいていなかったから」です。
20歳年上の男性から見て、自分が“ピチピチギャル”であるということが、当時はあまりわかっていなかったなと思います。
さらに、何を隠そうわたしは「年上好き」でした。
高校生のころに好きだった芸能人は、当時トレンディドラマで一世を風靡していた俳優の石田純一さん。彼はちょうどわたしの20歳ほど年上で、当時友達からは「げー、趣味悪い」と言われていました。
そんな“ピチピチギャル”好きの夫と、年上好きのわたしの需要と供給がぴったり一致してしまった結果、わが家の歳の差夫婦が成立したのです。
そんなわたしたち夫婦ですが、当然のごとくお互い年を取ります。
結婚して17年経ち、かっこいいおじさんだったわたしの夫は「おじいさん」になり、“ピチピチギャル”だったわたしは「おばちゃん」になりました。
結婚当初は32歳と52歳。親子に間違われたりしていましたが、「20年も経てば、2人で歩いていても夫婦に見られるね」と話しています。
結婚して17年経ったいま、わたしが白髪染めの話や腰痛の話をすると、わたしが夫に追い付いてきて老人トークができるようになったと嬉しそうにしています。なんだか不本意ですが、それはそれでよしとします。
そして夫の若い女性好きは、相変わらず絶好調。70歳になったため、仕事も嘱託になり、以前より時間ができてテレビ好きも加速。毎日ホクホクしながらテレビドラマを楽しんでいます。
夫のすごいところは、どんなにつまらないドラマでも、好きな俳優が出ていればきちんと最後まで観るところです。
わたしはいくら好きな俳優が出演していても、ストーリーがつまらないと観るのを断念してしまうのですが、毎クールごとにわたしの知らない新人タレントや俳優をチェックし、「俺の好きな〇〇ちゃんが出ているから観る」と言って、きっちりと最後まで見届けています。
夫に「最近気になっている女優さんはいるか」と聞いてみたら、知らない名前がずらずらと出てきました。
調べてみるとだいたいが20代前半の俳優だったので、若い女性が好きなのは相変わらずですね。そのアンテナの高さに感心します。
また、若い女性が好きな理由を聞いてみると、「若くて元気な女性を見ると、まだまだ未来があって、毎日楽しそうで、いいなぁと思える」とのこと。
正直、昔はそれを聞いてもピンと来ませんでした。ですが、最近気づきました。それは、わたしがつい最近ハマり始めたK-POPアイドルから元気をもらっているのと同じことなのかもしれないと。
画面で見るアイドルの子たちは、若くて、いつも笑顔で、歌もダンスも頑張っていて、嫌なことも理不尽なこともわたしに言わない、癒しの存在。
そんなアイドルのMVを見てわたしが息抜きをしているように、夫も若い女性タレントから元気をもらっているのかもしれません。
思えば、夫がわたしと結婚したのが52歳。わたしは今年50歳。50歳くらいになると老いを感じ、「若いことのありがたみ」がわかってくるのかなぁと思うようになりました。
この歳になってみて、若くて元気な人を見て元気をもらうという夫の境地を共有できるようになってきた気がします。
20歳差の夫婦が、17年間円満に暮らしてこれたのは…
お互いに世代が違い、価値観もまったく違うため、平行線で落としどころが見つからないケンカも多いですし、何度も夫婦の危機は訪れました。
ですがなんとか17年もっているのは、世代が違いすぎてお互いが平行線だからこそ、お互いの違いを認めて諦めざるを得ない環境だからかもしれません。
そんなわが家、遠くからテレビを見ている夫が「俺の好みの俳優の名前を書くなら、川口春奈ちゃんも入れといて!」とオーダーが入りました。そこは熱心なのには頭が下がります。
変な夫婦かもしれませんが、まぁまぁ楽しく、なんとかやっています。
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