「その人は夫じゃない!」出産でもハプニング
結婚してまる1年ほど経ったころ、子どもを授かりました。
夫は喜んでいましたが、やっぱり自分がオジサンなのを気にして「幼稚園の運動会とか恥ずかしいから行けないかも」とか後ろ向きなことばかり言っていました。
「そんなに気にするなら若い女と結婚するなよ」と内心毒づいていましたが、そんなことは関係なく、お腹の子はすくすくと成長。
わたしの頭はすっかりお花畑になり、お腹に当てて話すと赤ちゃんに話しかけられるという謎の道具を買って「おーい、聞こえるかい」とか話してみたり、生まれてくる子に着せたいとオーガニックコットンの糸でラブリーなベストを編んだりと脳内ホルモンをドバドバ出しながら過ごしていました。
外では体裁を気にして、ベビー用品店に行くのでさえ躊躇(ちゅうちょ)していた夫も、家のなかではわたしに乗せられ、お腹の子に謎の道具を使って「お〜い」と話しかけていましたね。
そんなこんなで出産が近づき、臨月に突入。ある夜、さて寝ようかとトイレに行くと、なんかお湯のようなものが…。
「これ破水じゃね?」と、慌てて夫を呼びに行き「どうも破水しちゃったらしい」と報告。
「陣痛より破水が先だと即入院」と聞いていたので、すぐに病院に電話して夫に車で送ってもらうことになりました。
用意してあった荷物を持って、いざ駐車場へ。するとなぜかあるはずの車がない!
夫に聞くと、前妻との息子くんに車を貸していたそうで…。「出産日が近いから夜には必ず戻すように」と伝えていたそうなのですが、遊びに行ったのかまだ戻っておらず、慌ててその場で連絡。
待つこと30分。息子くんが車で戻って来ました。夫はすでにパニックになっていて、なぜか戻ってきた息子くんに「一緒に乗れ!」と言って、一緒に車に乗せ、慌てて発車。
夫、わたし、夫と前妻の息子という謎の組み合わせで病院に向かいました。
深夜だったので救急入り口に車を横付けし、わたしと息子くんを下ろし、夫は「車を駐車場に入れてくるから先に行ってて」と言いました。
息子くんはまったく出産に関係ないのに、わたしの荷物を持って、受付に一緒に行ってくれました。
するとそこで看護師さんが、「すぐ検査するので病室に案内します。はい、そこの旦那さんも手続きがあるのでご一緒にお願いしますね」。
もう一度言いますが、一緒にいたのは夫の息子です。
当時まだ結婚もしていなかった息子くんはフリーズしてしまったので、わたしも慌ててしまい、「いえ、こちらは夫ではなく、ホンモノの夫は後から来ます!」と、息子くんがニセモノの夫のように伝えてしまいました。
夫との20歳差より息子くんとの13歳差のほうが実年齢も近いので、こちらも間違えられても仕方ないのですが…。
結婚式といい、出産といい、なんだか人生の大事なタイミングで「なにか」と「夫」を間違えられていますが、ふたりともさらに歳を重ねて、最近はそういう間違いをされることはなくなりました。
まぁわたしが老けておばちゃんになったという証拠でもあるので、嬉しいのかなんなのかはわかりませんが。
20歳も歳の差があるとこういうヘンテコなことが起こりますが、そんなハプニングもおもしろいと言えばおもしろいので、わたしにはこの生活が向いているのかもしれません。
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