「不成立」という終わりを迎えて
「月に一度開かれる調停はそんな感じで4カ月ほど続いていましたが、最後のほうは私も調停委員のおふたりも『離婚は無理だろう』という感想で、不成立の可能性が高いことを言われました。
私は調停が終わるたびに弁護士にお金を払って相談しており、これで担当の裁判官から不成立の決定を言われたら、すぐに離婚訴訟の手続きに進むことを決めていました。
実際に不成立が決まったのは次の月で、そのまま弁護士に代理人を依頼し、受任してもらいました。
収入が低いため弁護士費用が心配でしたが、法テラスの分割払いの制度を利用できるとわかり、これも弁護士を通して手続きができたので本当に助かりました。
訴訟を起こすことは『それをする理由が確実に理解できることが必要』と弁護士に言われたのは、いまも覚えています。
いまは、法テラスからの支援措置が決まったので、やっと裁判所に訴状を提出してもらったところです。
夫がどう出てくるか、私と同じように弁護士に代理人を依頼して戦うのかはわかりませんが、裁判まで起こす私の本気度は伝わると思います。
いざ自分が原告になってみて、離婚は本当に大変なのだという実感がありますが、夫の不誠実さは必ず追求するし許すつもりもありません。
両親はずっと応援してくれて娘の面倒もしっかりと見てくれて、本当に感謝するばかりですが、両親や娘のためにも最後まで戦い抜く覚悟を決めています」(女性/36歳/小売業)
このケースでは、女性が夫の暴力やモラルハラスメントについて記録していたものがあったことが、調停の流れや弁護士の対応を決めたといえます。
暴力やモラルハラスメントの記録を「捏造だ」と加害者側は口にするのが常套ですが、それが「本物」かどうかは見ればわかることがほとんどで、今回のそのノートは筆者が読んでいて涙が出るほど苦痛が伝わるものでした。
それでも、あくまでも話し合いが基本の場なら調停委員も裁判官も説得しか道はなく、配偶者が受け入れない限り離婚は成立しないのが調停です。
法が話し合いでの問題の解決を大切にする以上はいきなりの離婚訴訟は無理ですが、裁判は「原告」「被告」ときっぱりと立場が分かれるものであって、精神的にも金銭的にも負担は相応に生まれ、勢いで進められるものでは到底ないというのが筆者の気持ちです。
配偶者の有り様を調停で確認しながら訴訟の覚悟を決めていった今回のケースは、その負担をしっかりと負ってなお離婚を目指すもの。
不成立の後は、今回のように訴訟を起こすかふたたび調停を申し立てるかなど選択肢は複数ありますが、何よりも自分が後悔しない道を見据えることが、成功する離婚では欠かせないといえます。
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