さらなる快適を求めて…進化したスタイル
それは「朝食抜き」。これまでは朝が弱いわたしと息子に合わせ、宿の朝食時間を一番遅い朝8時に設定していました。
夫からすると、この時間は遅いのです。そして、私たちにとってはわりと早い。
わたしは起き抜けでもご飯が食べられるのですが、もともと食が細い息子は朝起き抜けでは何も食べられず、白米と納豆だけ食べて終了なんてこともあって、ちょっともったいない。
すると夫が「朝食つけなくていいんじゃない?」と言い出しました。
そう言われてみれば「朝食はつけるもの」というだけでつけていて、頑張ってそのために8時に起きていたのですが、よく考えたらコンビニでおにぎりとかサンドイッチを前日夜に買っておいて冷蔵庫に入れておけば、ギリギリまで寝ててもオッケーじゃん。
しかも朝食代が不要になる。なんて合理的!ということでわたしと息子はついに朝食も放棄。
わたしは起き抜けでもお腹がすくので前日夜に朝ごはんとコーヒーを買い、息子は朝ごはん自体が喉を通らないので本当に少しの何かを買って備えればノープロブレム。
やってみると、朝食のために8時に起きる必要がなくなり、とりあえず部屋の掃除が始まる10時までになんとか用意ができれば上等。
わたしと息子は朝のギリギリに慣れているので、起きてから準備までの時間は爆速。わたしは9時に起きれば十分、息子は9時40分くらいに起きればチェックアウトに間に合います。朝食なしにしたら、より快適になってしまいました。
そして昨年はいつもの宿が取れず、義両親も亡くなってしばらく経つので、北海道内でも違うところに行ってみようということになりました。
家族全員混んでいる場所が苦手なので、観光地過ぎず、海鮮がおいしそうなところ。というところで、稚内と礼文島に行くことに。
宿の手配はわたしがしましたが、夫のオーダーは「すべて別部屋でよろしく」とのことでした。
そりゃあこっちもモチのロンで別部屋に。だけどいつもの宿以外は、一人部屋料金という設定があり、家族で使うより割高なんですよね。
できるだけリーズナブルな宿を選んでも、そこは宿の決まりなので仕方ない。夫がお金を出すのでどうしようかと相談すると、何の躊躇もなく「多少高くても別部屋で」とのオーダーが。財布のひもは固い夫ですが、もうそんなこと関係ないくらい快適だったんでしょうね、お互い。
と、こんな感じでどこに行くにも別部屋で。が定番となった我が家の旅行ですが、今年3月の北海道旅行でさらに進化しました。
それは「レンタカー2台借り」。いままで宿は2部屋取っていましたが、レンタカーはなかなか金額的にもかさむので一台。なので行きたい場所が違っても別行動は難しかったのです。
ですが3月に訪れたときは夫は夫で地元でやりたいことがあったようで、「レンタカー2台借りて」と指令が入りました。
わたしは昔はペーパードライバーだったのですが、息子の塾の送迎で運転デビューし、地方のレンタカードライブも楽しめるようになっていたのでふたつ返事でOK。
こうなってくると、もはや飛行機だけ一緒で、あとは現地解散といった感じです。
宿も同じですが、別部屋なので「じゃあね」で終わり。朝は朝食をつけないので顔を合わせない。夫は朝早くからどこかに行くので、わたしたちは10時くらいにふらっと出かけるときには顔を合わせない。晩ごはんだけ示し合わせて行く。
そろそろ家族旅行とは呼ばないのでは…の境地まで来ています。
さらに今回は最終日にいつもの宿が取れず、夫は地元の宿に泊まると言ったのですが、わたしはその宿があまり好きじゃない。
レンタカー2台あるなら同じ宿じゃなくてもいいじゃんと、帰りの空港に近い宿を取ることにしました。
なので最終日は顔を合わせないまま、帰りの空港に現地集合です(笑)。
そして今回、わが家流新たな家族旅行を試してみたところ、なんと帰宅してからの疲れが全然違いました。旅行したっけ、っていうくらいラク。
そもそも地元が大好きな夫についていって、息子も実家と勘違いしている何もない田舎で泊まる、が目的だったのでゆるい旅ではありましたが、3月だったのでスキーにチャレンジしたり、それなりに活動もしました。
でも本当にノーストレスだったので、「あれ?なんでこんなに疲れてないの?」と不思議なほどでした。
やはり小さいことでも「気を遣う」ってめちゃくちゃ疲れることなんだなと気づきました。
結婚した当初、そして子どもが小さいころは、家族一緒にみんなでショッピングしている家族がうらやましくて仕方がなくて「なんでうちはみんなバラバラなんだろう」と思っていましたが、なんのことはない、わたしも夫も「相手に合わせてまで好きでもないことをしたくない」という価値観なだけだったんですね。
おそらくわたし、自分が小さいころに家が商売をしていたことや、わたしの父も嫌いなことはしない人だったので家族で買い物に出かけたことがなく、寂しかったのかもしれません。
母と買い物に行ったとき、子連れで家族仲睦まじく過ごすファミリーの姿をまぶしい気持ちで見ていて、憧れがあったんだと思います。
実際自分の理想にあわせて子どもが小さいころにやってはみましたが、そもそも無目的でショッピングモールに行くのが嫌いな夫、人ごみが疲れる息子、そしてどうせ行ったら洋服をじっくり見たいわたしの組み合わせでは「楽しくワイワイ」できるわけもなく。
それって向き不向きがあって、無理やりやるもんじゃないんだなぁというのもよくわかりました。
わたしたちは、昼間自由に行動して、晩ごはんだけ一緒に食べる程度が一番ノーストレスなスタイルのようです。
そんな感じでわたしたち家族の家族旅行は、なんとも進化系な「現地解散」スタイルとなっています。
夫も年を取り、財布のひもを締めるよりも、余生はノーストレスで過ごしたいという気持ちになったそうで、一人部屋を取ったり、レンタカーを2台借りることには予算を惜しみません。
ちなみに、実はわたしは、もう少し進化系があると思っています。それは息子が成人してから。
息子はいまはわたしと一緒に行動したがりますが、わたしと趣味嗜好が違います。
わたしは北海道の夏には富良野や美瑛など美しい景色のある場所をゆっくり回りたい。だけど息子は景色とかどうでもいい人。
連れまわすのも「まだ行くの?」と嫌がるし、こちらもゆっくり楽しめないしで、息子が成人した際にはぜひ免許を取ってもらい、本格的な「現地解散スタイル」で旅行できたらおもしろいかなと思います。
でも息子が成人して社会人になったら、そんなにお休みが取れないかもしれないので、息子が大学生のうちに一度試してみたいなとは思います(大学生になれたら…ですが)。
と、これを読んだみなさんは、わたしたち家族の生活をどう思うのかな?と興味深いです。
結婚当初は「家族はこうあるべきだ」にとらわれていたわたしですが、徐々に角が丸くなって「世の中的に変でも、自分たちが快適なのが一番だよね」という境地にたどり着きました。
多様性の時代ですもの、家族の在り方も多様性があっていいし、それぞれが快適に過ごせる着地点を見つけられたことって、とても幸せなんじゃないかと思います。
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