神戸メンタルサービスの平です。ヴィジョン心理学創始者のチャック・スペザーノ博士に師事。プロセスを重視した本格的なグループ・セラピーを開講し、20年以上セラピストとして働いてきました。
夫婦にしても、同棲カップルにしても、昨今はふたりがともに働いているという場合が多いですよね。
そうなると気になるのがお金のことですが、家賃や生活費など共通の費用は出し合って、それ以外については「財布は別」というケースが増えているようです。
一方、昭和スタイルとも言われていますが、奥さんが財布を握り、夫にお小遣いを渡すという方法をとっている夫婦もたくさんいらっしゃいます。
そして、この夫婦・カップルのお金に関することは、私に寄せられるご相談のなんと第2位に入っているのです。ちなみに第1位は浮気問題です。
では、お金に関して、起こりやすい問題とはどのようなものでしょうか?
カップルにおけるお金の問題
一例は、昭和スタイルをとっているカップルにおいて、お金を管理している奥さんが「夫の稼ぎが悪い」と不満をもっている場合です。
このケースでは、夫も夫で「お小遣いが少なすぎる」といった不満をもっていることがよくあります。
これらの文句を心理的に見ていくと、「稼ぎが少ない」と「お小遣いが少ない」はセット商品であり、「だから、ガマンばっかりしている」というところに行きつきます。
子どものころ、「お小遣いが少ないせいで、ガマンを強いられた」という経験をした人は多いのではないでしょうか。
そうしたみなさんも、大学生になってアルバイトをしはじめたり、就職して経済的に自立したりすると、「好きなことができる自由」が手に入ります。
それまでのように、「お金がないから、ガマンする」ということから解放されるわけです。
そして、愛するパートナーができて、同棲したり、結婚したりすると、ふたりには共通の夢ができたりするものです。
たとえば、「このパートナーと結婚したい」というものです。すると、「結婚資金が必要なので、いまは節約しよう」と思ったりしますよね。
夫婦であれば、「ふたりのための家を買いたい」とか、「将来、子どもをもつために養育資金を貯めなくちゃ」と思ったりしますよね。
そして、ふたりの間が円満であれば、その目的のためにするガマンなら、さほど不平不満をもたずに受け入れられるようなのです。
いつ、どこで、どんなことにお金を使うかということにまつわる研究があるのですが、それによると、私たち人間がお金を使う際の行動動機としてきわめて多いのが、なんらかのストレスを発散することなのだそう。
若いころ、「大好きなこの人と結婚することができたら、どんな貧乏な生活だって、彼さえいてくれれば幸せ」と思った人は多いのではないでしょうか。
おつきあいをはじめたころはそうでも、次第に隠れた不満が生まれたり、文句の言いたいことが出てくることもありますよね。
そんなとき、お酒を飲みにいったり、趣味・嗜好にお金を使うことができればある程度のストレス発散にもなりますが、そのためのお金がないとなると、ストレスを抱えたままガマンしなければならないということにもなりがちです。
たしかにリクツ上は、ふたりがなかよく過ごすことができれば、一緒にいるだけで喜びが生まれ、ストレス発散のための消費活動などする必要がないのかもしれません。
…が、一般的にはやはり一緒にいる年月が長くなればなるほど、お金を使うことでストレスを発散するということは、大なり小なり起こっているようです。
ちなみに、自分のガマンが相手のためになっているのか、いないのかを知ることは、ストレス発散のためには大事な要素と言えるようです。
それを知るにはコミュニケーションが必要ですが、自分のガマンが愛する人の利益になっているという自覚があるだけで、ガマンにも意味を見いだすことができます。
反対に相手の役に立っていないとしたら、ガマンは意味のないものになり、苦痛が増すばかりだったりもするようです。
ということは、パートナーに対する感謝などを表現することは、節約生活においても心理的には大事なことと言えますね。
- image by:Shutterstock
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。