義理の家族であっても引くべき境界線がある
その数日後、夫から「返してもらったから」と義母に渡していた合鍵が裕子さんの元に戻ります。
義母とどんなやり取りがあったのかは知らされませんでしたが、「夫の様子は明らかに落ち込んでいたので、嫌な言葉をかけられたことは想像がつきました」と裕子さんは振り返ります。
妻と自分の母親と板挟み状態になった夫ですが、これまで妻の言い分を無視していたのは自分のほうで、これがその結果です。
結婚すればたしかに義理の家族とはなりますが、だからといって自分たちの価値観を一方的に押し付けて飲み込ませるようなやり方では、いずれこんな軋轢が生まれます。
自分たちの常識を当たり前にするのではなく、人の気持ちを無視しないこと、引かれた境界線を尊重する意識が、居心地のいいつながりには欠かせません。
「妻の反抗」「嫁の尻に敷かれる息子」ではなく、関係は対等であり「No」を言えるのはお互いさまなのだという現実を、義実家はもう一度考える必要があります。
今後についてはまだわからないが、もう我慢しながら何かに付き合うのは無理というのがいまの裕子さんの実感であり、それは夫や義実家から責められるいわれはありません。
人との関係には引くべき境界線があることを、忘れてはいけないと改めて思います。
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