誰かに恋をしたとき。
想いが実ること、すなわち相手のココロも自分に向いてくれることを願う人が多いのではないでしょうか。そして、ずっと同じときを過ごす恋人になってほしい、と…。
しかし恋のゴールは「付き合うこと」だけなのでしょうか。
これから紹介するのは、自動車教習所の教官と「いっときの恋をした」というリサ(2児の母)の思い出バナシ。
「これから行く機会のない街に」
私が自動車の免許を取ったのは、大学2年生になる年の春休み。
その春、親友のヒトミとタイ行きの旅行を予約していたのですが、スマトラ沖地震が起こり、急遽予定を変更。自動車の合宿免許に参加することにしたのです。
「せっかくだから、あまり行く機会のない土地にしよう」と選んだのは、四国のとある県での合宿。四国に縁もゆかりもない私たち。「合宿終了後に、四国を一周して帰ろう」と約束をし、意気揚々と申し込みました。
大学1年の頃には、青春18切符で西日本を旅するなど、「全国を回りたいね!」と話していた私たちにとっては、全国制覇につながる絶好の機会でもありました。
辺りいちめんキャベツ畑。のどかな風景のなかで…
「まずは観光しよう!」と、合宿が始まる前日にその県の中心地に乗り込んだものの、まだ運転免許を持っていなかった私たちは、たった数時間で行ける範囲の観光地を回りきってしまいました。その町はとても小さかったのです。
そのころはまだ憧れていた都会での生活を満喫していた地方出身の私。大人になったいまでは、地方のよさ、田舎のよさもわかりますが、当時は「地元よりもつまらない町。ここで3週間も過ごすのか…」とかなり落胆したものです。
翌日、迎えのバスに乗って訪れたのは、キャベツ畑のなかにポツンと佇む教習所。その隣に3〜4畳ほどの個室が並ぶ合宿所が構えてありました。
辺りには商業施設らしきものも、飲食店も、ファミレスすらありません。あるのは、畑と教習所、そして合宿所だけ。合宿の目的も忘れ、失望したことを覚えています。