親友=仲のいい友人、互いに心を許し合い、弱いところも見せ合え、何でもいい合える存在。
大人になればなるほど友達をつくることはできても、親友と呼べるほどの関係性を築くことは難しいもの。だからこそ、とても大事な存在です。
しかし、その「親友」との何気ない日常が、相手の心に闇をつくり、とんでもない事態を巻き起こすこともあるようです。
これは、元アパレルプレスのアリサ(仮名)の身に起きた恐怖の実話。
「悪意のメール」に振り回されたアリサの告白
みなさんは、嫌がらせメールを受けた取ったことはありますか?
自分への嫌悪感、恨みがたっぷりこもったメール。
私はあります。何度も、しかも何年も。
初めてそのメールをもらったのは、ヘアメイクアシスタントをしていた上京3年目。
アシスタントの給料だけでは生活ができず、夜の仕事を掛け持ちしていましたが、ようやく生活の目処がついたことと彼氏ができたこともあり、夜職を卒業したばかりのころでした。
ある日の深夜、ベッドに入ったときに突然届いた知らないアドレスからのメール。誰からだろう?とそのアドレスを見た瞬間、不吉な予感がありました。
そのアドレスは、私の名前「arisa」と、「kill(殺す)」を連想させる、フリーメールのアドレス。開くと案の定、私の心を殺すような内容が書かれていました。しかもなぜかメールの主は、その日に私と彼が出かけたことを知っているようでした。
「きょう、あなたと彼を見かけました。
彼の顔、青白くってほんとお似合いですね。死人かと思いました。
そんな顔と体型で肌見せて歩くなんて信じらんない。
よっぽど神経図太いんですね。あなたなんかいなくなればいいのに」
とてもショックでしたが、夜職をあがりたてだった私は、きっとその関係の人からだろうと気にしないようにしました。夜職は人気も金も取り合いの仕事。恨み妬みを買うことは日常茶飯事です。アドレスも電話番号もすべて変えて忘れるようにしました。
幸せとともにやってくる恐怖
それでも嫌がらせメールはなぜかポツポツと忘れたころに続き、気が付けば5年も受け取っていました。
タイミングはすべて、私に新しい彼氏ができたり、ヘアメイクの道をあきらめ、アパレルブランドのプレスの仕事に転職したときなど前に進みかけたときばかり。
メールはフリーメールだけでなく、携帯電話のメールアドレスなど色々な形でくるのですが、どのアドレスも私の名前に「noroi(呪い)」「death(死)」など不吉な言葉をかけ合わせたものでした。
内容はどれも「お前みたいなブスがアパレルのプレスだなんて信じられない」「チビ、ブス」「尻軽女」「あんたみたいなのが何で恋愛すんの」「死ねばいいのに」など、私の職業や身体的特徴を絡めたもの。ときには“私のことを嫌っている子の親友”を名乗る人が、「みんながあなたを嫌っている」とわざわざ教えてくれるようなメールなど、よくわからないものもありました。
「この人が怪しいかも」と思っても確実な証拠をつかむことができず、犯人はみつかりません。
できるだけ気にしないようにしていても、親しくない友人とは少し壁をつくってしまうようになっていました。
年に数回といえども度々届く嫌がらせメール。幸せを感じるたびに「またメールがくるのか」と心のどこかで恐怖を感じ、ときに心が折れてしまいそうでした。
こんなに誰かに恨まれるなら仕事をやめた方がいいのかな、彼にも迷惑がかかってしまうのでは?と、地元に帰ることも考えましたが、それでも東京で頑張れた大きな理由は親友の存在があったからでした。
ずっと側で支えてくれた親友、彼女がいなければ耐えられなかったと思います。