疑心が確信に変わったとき
その彼と別れたあとは特に誰と付き合うこともなく、平凡な日々が流れていました。仕事に集中し、時間があればサキやそのまわりの友達と飲むような毎日。充実していたし、嫌がらせメールもピタッと止み、恐怖のメールのこともすっかり忘れかけていました。
そんなある日、2年半ぶりくらいにようやく彼氏ができたのです。
彼はサキとも共通の友人。サキもお墨付きの人で、いつメン飲み会で何度か会ううちに、ふたりで会うようになり、紆余曲折を乗り越えて付き合うことに。
サキにはデートを重ねるころから逐一報告していましたが、ほかの人には伝えていませんでした。彼は仲のいい飲み仲間のひとりだし、もし上手くいかなかったら気まずくなるからです。正式に付き合ったあとに、定例の飲み会でみんなに報告しようと彼と決めました。その日はたまたまサキが仕事で来られない日だったのですが…。
しかし報告しようと思っていた飲み会当日、急な体調不良で私はすぐに帰宅することになり、仲間への報告も後日に持ち越しに。
その翌日、ベッドに寝込んだまま、携帯を開くと知らない女性からFacebookの友達申請とともに、また嫌がらせメールが届いていたのです。
はじめ友達申請しか気づかず、すぐに承認してしまいましたが、前日の飲み会で初めて会う女性もいたため、そのひとりだろうとしか思っていませんでしたが、ふと思い立ち申請した子のプロフィールをチェックすると、飛び込んできた「職業:ナース」の文字に、心にざらつきを覚えました。
実は彼とデートを重ねているころ、彼が私と平行線でほかの子も追っかけていた疑惑があり、問い詰めたことがありました。結局それはただの誤解で、それがきっかけで私たちは正式に付き合うことになったのですが、その疑惑の子が「医療関係勤務」だったのです。
体調不良も忘れ焦った私は、すぐに承認を取り消し、彼女のFacebookをチェックすると、たった2つだけ申請同日に書かれた投稿がありました。ひとつは彼に、そしてもうひとつはあきらかに私に向けた投稿。
「惚れてた男に裏切られました。
なんとなく嫌な予感して
相手がシャワー入ってる間に携帯見たら、
見たくないもの、女、女、女。
でも、次会ったときに見たら、全部消えてた。ひきょう者。
始まったばっかりの恋だったのに。
年上の男なんてやっぱり信じられないです。最悪。」
「いったん承認したくせに、ビビって逃げた。へたれ。」
念のため、メッセンジャーもチェックすると、やっぱり届いていました。たった5文字のメール。
「彼を返して」
いつものパターンとは違うものの、明らかに私を落とすための内容でした。
いままでであれば、なぜこんなメールが来るのだろうと落ち込み動揺し、すぐにサキに助けを求めていましたが、この日はどんどんと冷静になっていく自分がいました。
犯人はひとりしかいない。サキだと。