免許合宿はまるで恋愛リアリティショー?
意気消沈のなかスタートした合宿生活ですが、そこには日本全国から多くの学生が集まってきており、自然とほかのグループの学生との交流が生まれました。
私が仲良くなったのは、同じく東京の大学から合宿に来ていた男子グループと埼玉から来ていた女子グループ。レンタサイクルを借りてはちょっと離れた場所にあるカラオケ店に出かけたり、おいしいと評判のうどん屋さんに出かけたり。思いのほか、合宿生活は楽しいものになりました。
そして、ハタチそこそこの私たちには当然、恋も生まれ…。
「テラスハウス」や「あいのり」のような恋愛リアリティ番組さながらの同じ環境下で寝食をともにするうちに、仲良くしていたグループのなかでカップルができたり、片思いをする人が出てきたり。いま思うと、甘酸っぱい青春模様が繰り広げられた、密度の濃い3週間でした。
自動車教習の教官がモテるわけ
まだ入所間もなかったころ、仲良しグループのアヤが恋愛相談をしてきました。「私、シンドウ教官のことが好きになってしまったみたい…」と。
どんな人なのかと思いチェックしてみると、彼は確かに女子ウケしそうな爽やか系の30代前半の若手教官。「若いし、イケメンってほどではないけれど、感じのいい人だな」そのときはそんな風に思ったと記憶しています。
それから間もなく、私の技能教習でシンドウ教官が付いてくれる日がありました。
「アヤが好きって言っていた教官だ」と思いながら運転席に乗り込み、教習が開始。そこで、アヤが彼に惹かれた理由が何となくわかった気がしました。私にも、彼に対する恋心が芽生えてしまったのです。
その後、教習所の教官に恋することは“あるある”なことだと知りました。
まるでドライブデートのように車のなかでふたりっきりになることもその理由のひとつでしょう。また慣れない運転で緊張していることによる吊り橋効果もあるのかもしれません。
また当時、同年代の男性しかまわりにいなかった私にとって、やさしく運転を教えてくれるシンドウ教官は年上の頼れる男性に思えてしまったのかもしれません。
それに、彼と教習の合間にする会話は、とにかく心地よいものでした。