こんにちは、椎名です。僕は身体の性が女性で心の性は定めていないセクシュアルマイノリティで、女性のパートナーと生活をともにしています。
「多様性」という言葉とともに広く知られるようになった「LGBTQ+」。心と身体の性別が一致しているシスジェンダーで、なおかつ異性愛者であるかたの多くは、ニュースなどの報道や企業・自治体での研修、SNSなどを通じてLGBTQ+を認知したことと思います。
今回は、LGBTQ+の存在を知ったあと、理解し「何もおかしいことではない」と受け入れることができたかたに知ってほしい「アライ(Ally)」についてお話します。
「アライ」ってなに?
「アライ(Ally)」とは、LGBTQ+当事者であるか否かは関係なく、LGBTQ+のかたがたの活動を支持・支援をしている人・人たちのこと。正確にはストレートアライ(Straight Ally)。
英語で「ally」は、「仲間」「味方」「同盟」という意味を持っていることから、LGBTQ+当事者である人たちに共感をし、支援したいと考える仲間という意味合いとして使われるようになりました。
冒頭でもお話しした通り、筆者の身体の性は女性ですが、心の性は定めておりません。一緒に暮らしている生涯のパートナーは心身ともに女性です。両親や一部の友人たち、SNSなどではこのことをカムアウトをしています。
カムアウトをした相手のなかには、僕からカムアウトを受けたことがきっかけでLGBTQ+は身近な存在だと認識したと話し、応援してくれているかたもいます。
そんなジェンダーもセクシュアリティも千差万別であり、誰もが自身の性を尊重されるべきであることを理解しているというかたは、私の周りだけにいるのではありません。
この記事を読んでくださっているかたのなかにも、単語そのものをこれまで知らなかったとしても、アライに当てはまるかたがいるのではないでしょうか。
アライとしてできること
たしかに考え方はアライに当てはまるけれど、この記事をきっかけに「アライ」という言葉を知ったり、聞いたことはあったけれど意味はよくわかっていなかった場合、「安易に名乗っていいものなの?」と考えると思います。もしくは「自分は当事者ではないので、LGBTQ+への知識をとても深めていないのいけないのでは?」とも考えるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。当事者ではなくても、特別に知識が深くなくても、具体的な支援活動を熱心にしていなくてもアライは表明していいのです。
これはあくまで筆者の考え方ですが、アライであると声高に表明すること自体よりも、“なにをするか”が大切だと思います。これはなにか支援活動をしなさいということではなく、自分にできることを考え細やかなことでも行動や態度で示すことのほうが意味があると思います。
たとえば、職場や学校、SNSも含めた周囲へ差別的な言動をしないこと。
「当たり前では?」と感じたかたは、周囲で差別的な言動に遭遇した際それに同調しないこと。訂正することが難しい場合でも話題を変えたり、もしその言動の標的にされた人がいた場合はあとからフォローを入れてみること。とても身近なことに対する行動ですが、これは立派なアライの行動です。
日々の会話やSNSへの投稿でも選ぶ言葉を変えることで、アライであると直接言わなくとも態度で示すことが可能です。
LGBTQ+に関する話題をする機会があった場合。たとえば、カムアウトを受けたあと当事者と会話をするときに機会があるかもしれません。
そんなときに、「レズ」「ホモ」ではなく「レズビアン」「ゲイ」と表現すること。もちろん当事者以外との会話であっても、話す機会がある際にはそう表現できると素晴らしいと思います。
ほかにも、その人らしい素敵な部分を褒める際「男らしい」「女らしい」ではなく「○○さんらしい」。子どもが産まれた・お子さんがいらっしゃるかたへ「娘さん」「息子さん」ではなく「お子さん」とそれぞれ言い換えてみましょう。
同僚や部下を励ましたり、労ったりする際も「女性(男性)は大変だよね」ではなく「○○さんは大変だよね」と言い換えることができます。ポイントは性別由来単語から、その人個人に言い換えることです。
筆者が実際に私生活でカムアウトを行ってきた相手の多くは、「私は偏見がないよ!」と公言しているだけのかたではなく、公言していなくてもこういった性別ではなく個人単位として周囲を扱っているかたたちです。
理由はとても簡単で、そういう人のほうがカムアウトを聞き入れてくれそうだから。たとえカムアウトをしなくても、そういう人は居心地がよく仕事もしやすいと感じます。
言動を少し変えるだけで、あなたの周りにいるかもしれない当事者は少しだけ暮らしやすくなります。そして味方がいると感じられることはそれだけで心強く感じるものです。