人付き合いでも難しいのが、距離の近いママ友との会話。
同じ母親としていろいろな話ができる反面、こちらの事情を知られ周りにそれを伝えられていくこともあり、何でも打ち明けるのは危険な人もいます。
他人の家庭について関心が深いママ友ほど、つかんだ情報を軽く扱うのが現実です。
デリカシーのなさがどんなトラブルを引き起こすのが、実例をご紹介します。
そんなこと言ってない!(34歳/セールス)
「娘が幼稚園に通っているときに仲良くしていたママ友がいました。
送迎の時間が同じで毎日顔を合わせるなかで親しくなり、子ども同士もよく遊んでいたので気楽に話せるママ友として楽しく過ごしていました。
お互いに夫がサラリーマンだったこともあり、夫婦のことなども話題にしていたのですが、縁を切ったのは彼女が私の愚痴を勝手に盛って周りの人に話していたから。
当時、夫と家事の負担で喧嘩になり悩んでいた私は、彼女にそれについて話していました。
『よくあることだよね』と言い合いながらも、私の気持ちに寄り添ってくれる彼女に感謝していたのを覚えています。
『きょうも夫はさっさと寝室に入っていって、おやすみの言葉もなかった』とため息をつきながら話したら、『話し合いから逃げるのはずるいよね、どうせ疲れているとか言ってそのまま寝るんでしょ』と彼女も乗ってくれて、そのときふと口をついて出たのが『離婚できればな』という言葉。
本気ではなくただの気持ちとして言ったつもりで、彼女も『わかるよ、こんな人とやっていけないと思うよね』と答えてくれて、そのときは離婚するなんて決定的なことは話していません。
それからしばらくして、別のママ友から『○○さんに聞いたけど、離婚するって本当?』とLINEでメッセージが届き、飛び上がりました。
慌てて電話すると、彼女がうちについて『すれ違いがひどくて離婚するらしい』と周りの人に話しているのがわかり、『ただの愚痴で離婚したいって言っただけで、することはない』とママ友に答えながら怒りが湧いてきました。
それからすぐ彼女に電話して、『あのときの愚痴のことだけど、本当に離婚する気はないし周りに言うのはやめてほしい』とはっきり言いました。
彼女は私が怒っていることに気づいて最初はひるんだ様子でしたが、自分が話を大げさにして周囲に伝えたことには触れず『誰から聞いたの?』と全然違う話をしてきてさらに腹が立ちましたね。
『そんなことはどうでもいいし、勝手に話を盛られても迷惑だから』と言うと、『だったら離婚したいなんて言わなければいいじゃない』と返してきて、話しても意味ないなと思いましたね…。
いくらママ友でも、そもそも人の家庭の事情を他人に話すデリカシーのなさが信じられないし、そんな自分を反省もしないのはありえないと思います。
結局謝罪も何もなく雰囲気の悪いまま通話は終わり、LINEをくれたママ友に改めて話を聞いたら、いろいろな人にうちが離婚すると言いふらしていることを知りました。
『あの人、いつも誰かの噂話ばかりするから、前から信用していないの』とママ友が言って、だから私に確認してくれたのかと思ったけれど、こんな人ばかりじゃないですよね。
どこまで話が広がっているのかわからないのが恐ろしく、このママ友に本当のことをほかの人に伝えてもらうようお願いしながら『何でこんなくだらないことをしているのだろう』と虚しくなりました。
彼女とはそれ以来ずっと疎遠ですが、ただの愚痴を大げさにとらえたりそれを勝手に周囲に吹聴したり、人として二度と信用できないなと思っています」(34歳/セールス)
どんなことであれ、よその家庭について知り得た情報を当人の許可なく周囲に「発信」するのはマナー違反です。
特に離婚のようなネガティブなことを、しかも決定ではなく気持ちを口にしただけなのに、盛って吹聴するのは、失礼でありデリカシーのない行為。
いわゆる「スピーカー」のように何でも口にする人は、同じように噂好きな人にもてはやされる一方でまともな感覚の人からは警戒され遠ざけられ、いずれ孤立していくのを見ます。
それを責められ謝罪も反省もしないのは当人の自由ですが、その代わりに失うのが周囲の信用、自分で自分の価値を貶めているといえますね。