韓国在住5年、日本語教師でライターのHAZUKIです。在韓ならではの生きた韓国情報をお届けします。
韓国国内のニュースを見ていると、ここ最近薬物に関する事件が増えているなと感じます。
特に若い世代の薬物事件が増えていて、去年はカンナムのある場所で子どもたちに薬物入り飲料を飲ませた事件もありました。こちらは後ほど詳しく説明しますね。
YTNニュースによると、過去1年間に警察に捕まった薬物犯罪者は2万人を超え、前年比で17%も増加。過去最高を記録したそうです。このなかで10代の薬物犯罪者は294人にものぼりました。
薬物の種類も多様化しており、2022年初めてヘロインが検出されたほか、2021年以降は以前まで検出されなかった合成大麻も確認されています。
特に、人間をゾンビのように変えるとされ「ゾンビドラッグ」と呼ばれているフェンタニルの検出件数が、ヒロポンに次いで多く、懸念を高めているもののひとつ。
これらの「薬物拡散」は非常に危険な兆候とされ、国立科学捜査研究院も薬物対応部門を新設し、新種薬物の捜索や乱用状況のモニタリングなど、薬物対応機能を強化する方針です。
このように薬物に関する事件が増えている韓国を揺るがし、特に話題になった「薬物事件」をご紹介します。
韓国中が恐怖に落とされた「薬物ドリンク」
これは、2023年の4月に起こった事件です。
学生たちの学習塾が多く集まる地域で、「集中力・記憶力をあげるドリンク」の試飲会が実施されました。
実はこのドリンクには覚醒剤が含まれており、飲んだ学生たちは、めまいや嘔吐などの体調不良を訴えました。
FNNの動画でも述べられているように、この事件の狙いは金銭。
アンケート調査で親の連絡先を聞き出した後、覚醒剤入りの飲料を飲ませ、親に「子どもが覚せい剤を服用したから入金(約1000万円)をしないと警察に通報する」と連絡するのが手口だったそうです。
普通ならすぐに警察に連絡しそうですが、犯行が行われた地域はお金持ちが多く集まる地域。親が対面を気にして入金されることを見越しての、新手の詐欺でした。
幸いにも親がすぐ警察に連絡しましたが、「自分が知らない間に薬物を飲まされる可能性がある」という恐怖に落とされる事件でした。
これは、韓国でも、日本でも、どこの国でもいつ起きてもおかしくないので、気をつけたいところです。
「やりすぎな報道」も変わるのでは…
一般人の薬物使用も問題になっていますが、やはり話題になるのは芸能人の薬物使用です。
昨年の事件で記憶に残るのは俳優ユ・アインさんです。ユ・アインさんは2023年2月に大麻の陽性反応が検出され、大変なニュースになっていました。
過去のインタビュー動画や密着動画で明らかにおかしな言動があったこともあり、「芸能界どうなっているの?」「これが普通になってはいけない」という国⺠の意見が大きくなった印象です。
このような事件で、韓国は薬物事件に対し、敏感に反応するような社会になりつつあります。
そんななか韓国のトップ俳優のイ・ソンギュンさんが突然薬物投薬疑惑で捜査を受けることになりました。
本人は容疑を否認し、3回の検査すべて陰性にも関わらず、「彼は絶対やっている」という雰囲気を、マスコミやSNSを通して、国⺠そして韓国検察が作りあげました。
結果的に、昨年12月27日にイ・ソンギュンさんは自殺してしまいました。
彼の死後、 同僚の俳優や監督達が立ちあがり、ソースがない報道、国⺠の関心をあおるための事件と関係ない情報、また事件の信憑性について報道局と戦うと宣言をしました。(参考:TongTongCulture)
これによって、韓国のやりすぎな報道も少しは変わるのではないかと思っています。
今回は韓国の薬物事件、またそれに関する報道の問題についてお話しました。またこれらに進展があればお伝えしますね。
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