20歳年上の夫と、マイペース高1息子と暮らすアラフィフ主婦、塩辛いか乃です。
結婚当初は30代と50代だったわたしたち夫婦も、今年で結婚17年。
以前は歩いているだけでパパ活を疑われましたが、いまや50歳と70歳。健康オタクで見た目が老けない夫のおかげで、パパ活を疑われる余地もなく、普通のおばさんとおじさん(中身はおじいさん)として平和に日々を過ごしています。
ですが、寄る年波に勝てず、最近お互いもの忘れが激しくなってきました。
夫はわたしのことを「まだ若いじゃん」と言いますが、わたしはわたしなりに中年で、いろいろなことを忘れっぽくなっているなと実感しています。
「忘れっぽい」はお互いさま
たとえばキッチンに何かを取りに行ったつもりが、いざキッチンに行くと何を取りに行ったのか忘れています。
仕方ないのでリビングに戻ると思い出す。思い出したのでキッチンに行くと別のことに気を取られ、取りに行ったものを忘れて戻ってくる、なんてことが日常茶飯事。
やばいなぁと思いながら同年代のママ友に話すと「わたしも!」と賛同の声が上がるので、50代に差し掛かると「あるある」なのかなぁと思っています。
50代のママ友同士の会話もどんどんうろ覚えの話が増えていって、「えーっとなんだっけ、あのちょっと個性的な人がね…」と固有名詞が出てこないことも多々。それでも想像力でなんとか乗り切ってしまうのがオバチャンパワー。
そして夫は夫で見た目は若くても70歳。ぶっちゃけ「老人」なので、こちらのもの忘れもなかなかです。
テレビっ子な夫は、あらゆるテレビドラマを録画して日がな一日見ているのですが、ときどきわたしにドラマや俳優の話をしようとしても、ほとんどの場合テレビドラマのタイトルは出てきません。
「あの人が出ているあれってさぁ」から始まります。「あの俳優」と言われても手掛かりがないので会話が続きません。
ある日の会話はこんな感じでした。
夫「あの俳優がさぁ」
私「あの俳優って誰よ?」
夫「若い人」
私「若くてどんな人よ?」
夫「若くって、ほら、朝ドラに出てたあの役の人」
私「朝ドラってどの朝ドラよ?」
夫「なんか沖縄のやつ」
私「あー、あの。なんだっけ?」
夫「それに出てた…ああ、飯豊まりえ」
私「ああ、出てたね」
夫「あーそうそう、その人が今度なんとかっていう映画に出るらしくて」
私「なんとかって何の映画?」
夫「いやそれが、あの、なんかゾンビのやつで、あの俳優が出るやつ」
私「ああ、ゾンビのやつね、竹内涼真?」
夫「ああ、そうそう、それに出るから見たいんだけど、どうしようかなぁと思って」
私「で、その映画のタイトル何?」
夫「えーっと、わかんない、調べて」
私「…君と世界が終わる日に」
夫「あー、それそれ。飯沼愛ちゃんが出るから見てたんだよねぇ」
…と、「飯豊まりえちゃんが出る映画を観たい」というだけのやり取りにこれだけの時間がかかってしまいます。
だいたいが「あの俳優」「なんとかっていうドラマ」で展開されるので、常になぞかけがされている状態。
そんなうろ覚えのくせに、自分の推しの女優さんの話をするときだけは「○○ちゃん」としっかりちゃん付けで呼ぶあたりが、さすが若い女好きの夫。
そんな会話はまだ可愛いものですが、忘れっぽい2人だからこそトラブルになることも増えました。
それは、お互いの予定。お互いの予定、および息子の予定はリビングの大きなカレンダーに記入していくことになっているのですが、お互いがお互いの予定に興味がないので、結局見ないままその日を迎えます。
夫は家が大好きなので滅多に飲み会などないのですが、今年はコロナ禍が明けてさすがに飲み会が多く…。
この3年間で夫に飲み会があること自体がすっぽり抜けている私は、カレンダーにいくら「飲み会」と書かれても夫が飲み会なことが記憶できなくなってしまいました。
夫はほとんどの場合家に帰ってくるので、うっかりご飯を作ってしまい、「なんかきょう帰りが遅いなぁ」と思いながらふとカレンダーを見ると、「飲み会」と薄い字で書かれていたりしてビックリ、なんてこともあります。
逆もまたしかりで、夫もわたしや息子のスケジュールの覚えなさもすごいです。
息子の塾はたいていの場合、夫が送迎しているのですが、息子が学校行事で塾を振り替えたりする場合などは、前週に伝えても当然覚えているわけはなく、前日の朝に「あしたは塾あるんでしょ?」と聞かれます。
「学校行事で振替え!」と伝えるのだけれど、その日の夜にまた「それで、あしたは息子の塾だよなぁ」と忘れている。
「あしたはないって言ったじゃん!」と半ギレで伝えるも、翌朝にまたフレッシュな顔して「きょう塾あるんだっけ?」と聞く有様。
「だから学校行事でないんだってば!」というのだけど、「ああ、そうなんだ!」と初めて聞いたような顔で答えるというありさま。
あまりにもお互い忘れるので、カレンダーではなく、当日のことのみ共有できる、昔会社にあったような「○○本日直帰」みたいな営業用のホワイトボードでも導入したほうがいいのではないかと思い始めました。
忘れっぽくなって困ることも出てきていますが、悪いことばかりではありません。
お互いできることに限界が出てきてしまったので、ぶつかってばかりいても仕方ないというか「まぁしょうがないわね」という妥協ができるようになった、というのは私たち夫婦にとって結構大きな転換点かもしれません。
もちろんまだ大ゲンカをすることもありますが、「怒る」ってものすごくエネルギーがいることなんですよね。
そしてお互いバトルして自分の主張をぶつけるってすごく疲れる。
たくさんそんなことをしてきたけれど、結局お互いの主張って平行線で、何も解決しないままいままで来てしまっている。
だったらもうお互い「じゃあしょうがないね、ハハハ」で終わらせた方がいいんじゃないかって思うようになった気がします。
自分も忘れっぽくなっているから相手の非を責めまくるわけにもいかないし、なんとなくお互いさまという感覚が芽生えてきているのかもしれません。
…って、そうは言ってもわたし、まだ夫がわたしと結婚した年齢にもなってないので「忘れっぽくなった」とか言ってる場合じゃないんですけどね。
だけど夫婦生活の17年間。こだわりが強くて協調性のない2人ですが、なんとなく角が取れて妥協点が見つかり、「ま、いっか」と言えるようになって来たって、夫婦として成熟してきたような気がして、こういうのも悪くないなぁと思います。
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