こんにちは。韓国在住6年目、日本語教師でライターのHAZUKIです。在韓ならではの生きた韓国情報をお届けします。
きょうは「韓国の自殺率」、特に高齢者の自殺についてお話します。
あまり高齢者の自殺問題について立ち止まって考えることがありませんでしたが、韓国国内のニュースを見たり記事を読んでいるうちに「ああ、かなり深刻な問題なんだ…」と感じました。
一部は過去の日本とも似ている部分があるので、比較しながらご覧ください。
韓国の高齢者自殺率
朝鮮日報によると、韓国の高齢者の自殺率はOECDのなかでも圧倒的な1位です。
2016年に3615人、2017年に3372人、2018年に3593人、2019年に3600人、2020年に3392人の方が自殺で亡くなりました。
同時期の日本は2016年に8871人、2017年に8521人、2018年に8367人、2019年に7953人、2020年に8126人。
人数だけを見れば日本の方が自殺者が多いですが、韓国より日本の方が3倍近く人口が多いことを考慮すると、韓国の高齢者自殺率がかなり高いということがわかりますよね。
2025年には、韓国で5人に1人が65歳以上という「超高齢社会」が始まると予想されています。
しかし、このまま準備なしに超高齢化社会をを迎えると、多くの高齢者が経済的、心理的、社会的な困難に直面すると予想できるでしょう。(参考:朝鮮日報)
高齢者の自殺率があがった原因
自殺率があがった理由は経済的な問題、社会的孤立、そして健康問題があげられています。
日本に比べると、高齢者ができる仕事の幅が少なく、仕事を見つけるのが困難です。
子育てや生活で精一杯で貯蓄ができなかった人も多いうえに、年金だけでは生活できず、経済的困難に陥るケースが多々あります。
また、社会的孤立も考えられます。
韓国はここ数年で超高度成⻑を遂げた国なので、価値観の多様化、社会のつながりが自分の子どものころとのギャップが大きく、いざ高齢者になると戸惑ってしまう人も多いです。
日本でも深刻な問題である孤独ですが、韓国でも徐々に社会問題になってきています。
ほかにも、健康問題も原因にあげられます。いまの高齢者たちは現役のときは週末もバリバリで仕事をしてきた世代。
そのため、健康管理に気を配る暇がなく、十分な運動をしてこなかった人も少なくありません。
時間ができ、いざ運動を始めようと思っても、もう運動ができない体になっていたり、無理な運動で体を痛めてしまう人も多いそうです。そうすると、一気に老化が加速してしまいます。
これらが重なって、自殺を選択してしまう人が多い現実があります。
韓国の対策
韓国では、この問題に対処するため、自殺予防ホットラインの設置や、地域社会での相談体制の整備、高齢者向けの社会参加プログラムの充実などさまざまな対策が行われています。
実際、筆者も地域の日本語教室や文化センターなどで授業をしましたが、高齢者の参加率が高く、満足しているように見えました。
しかし残念な点は、本当に助けが必要な人たちには情報が届かない場合があること。
最近は社会福祉の方々が高齢者への自宅訪問や電話での安否確認なども行っていますが、人手不足もあり、なかなかうまくいかないところもあるようです。
最近、YouTubeでは「老後を迎える前にしておかなければいけないこと」「栄養バランスの大切さ」などを若い人にも訴える映像をよく見ます。
少しでも元気な老後を送るためには何をしなければいけないかを書いた本もベストセラーになっていて、「幸せな老後準備」を始める人も増えているという印象です。
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