自分の母親がどんな女性よりも一番、いわゆる「マザコン」の男性はいつの時代にもいるもの。
親を大切に思う気持ちはいいけれど、「それ以外の女性」と比べて常に自分にとっての最上位に母親を置いてしまうと、外の世界では鼻つまみにされます。
そんな風潮を理解してマザコンを隠す男性も増えていますが、もともとの気質はふとした瞬間に顔を出すことが多く、違和感を覚えたときは「母親最高」を疑う意識が自分を救います。
相手のことがどれだけ好きでも、いずれは関係が破綻する「隠れマザコン男子」についてご紹介します。
「母親アゲ」の彼氏(30歳/営業)
「彼氏とは会社の仕事を通じて知り合い、意気投合してお付き合いが始まりました。お互いに自分の仕事が好きで、愚痴とか弱音を話してもちゃんと聞いてくれるところとか信頼していましたね…。
『俺の母親もバリバリ働いてる人だったから』って、私が積極的に仕事を取りに行くことも応援してくれていました。
うまくいってると思っていましたが、おかしいなと思ったのはお付き合いが半年を過ぎたあたりから。
ある夜、いつものようにうちでご飯を食べていたのですが、その日は外回りが多くて疲れていて、彼氏に『きょうはお皿洗いを任せてもいい?』とお願いしたんです。
作るのはいつも私で、キッチンが狭いから洗い物も私がすることが多いけど、彼氏のほうから『きょうは俺が洗うから』と言ってくれることもあったので、そのときも甘えてみました。
そうしたら、『俺の母親は疲れていても自分でやっていたな』って、ぼそっと嫌味みたいな声が返ってきて。
彼氏もその日は忙しかったのは聞いていたけど、洗い物をしたくない理由に母親を持ち出すことに引きましたね。
カチンときて『あなたのママと私は違うんだけど』と言ったら、『馬鹿にするな。俺の母親は君よりずっと稼いでいたんだぞ』って、顔を真っ赤にして言い返してくるので気持ち悪かったです…。
彼女より自分の母親アゲをするって、『あ、これがマザコンなんだ』と思い、そのときは黙って私が洗い物をしたけど、それ以降距離を置くようにしました。
私がドン引きしたことに気づいたらしい彼氏が、『俺が洗えばよかった、疲れていてきついことを言ってごめん』ってLINEでメッセージを送ってくるけど、『でも、ママ呼ばわりされたのは許せない』って書いてあるんですよね。
自分がマザコンと思われているのも察してるだろうし、でも何で私が『ママ呼ばわり』したのかは考えてないし、こっちにも謝れって強制してくる感じがもう無理でした。
さすがに『マザコンとは付き合えない』とははっきり言えなかったけど、『価値観が違うみたいだから、これ以上付き合うのは難しいかな』と書いて送ったら、それからは連絡がなくてフェードアウトです。
彼女との付き合いに自分の母親を持ち出して従わせようとするの、マザコンのうえにモラハラっぽいし、やばいですよね?」(30歳/営業)
こちらのケースでは、それまで彼氏による「母親アゲ」は少なかったそうです。
それでも、自分の負担を避けたい場面で「母親はこんなときはこうだった、すごい」と持ち上げるような言い方をするのは、マザコンの片鱗が出ていると感じます。
そして、それは「だから君もそうして」と彼女にとっては圧力になることに気づかないのも問題。
彼女の様子を見てマザコンと思われている自分を察しても、非を認めたうえで「自分の母親への謝罪」を求めてくるような姿は、彼女に母親アゲと言われても仕方ありません。
極端な母親至上主義が見えなくても、何かあったときに突然その存在を持ち出して彼女との比較に使うような男性は、健全なお付き合いや結婚などは難しい可能性がありますね。
成人になっても消えない母親の影(25歳/接客業)
「仲のいい男友達がいて、『そのうち好きになってくれたらいいな』くらいのゆるい片思いをしていました。
彼は女の人と付き合ったことがなくて、自分から積極的に声をかけていくタイプでもないけれど、私がご飯とか映画に誘ったらいつも来てくれるし体調とか気遣ってもくれるし、いわゆる『ダイヤの原石』みたいに思っていた時期もありましたね。
『服がダサくて』『変わりたい』といつも気にしているので、あるとき美容院い行ってさっぱりした彼を買い物に誘いました。
服のコーナーを一緒に見ていて、彼が『自分に似合う服がわからない』と言うので私が選んでいたのですが、落ち着いたモスグリーンの色を彼に勧めたときです。
『あ、そういう色はお前には似合わないって子どものころにお母さんに言われて、それ以来着ないようにしてる』って、手に取ることもしないのでびっくり。
『いいと思うけどな』と言っても『うーん』という反応で、冗談で『もしかして、着る服って全部お母さんが用意してたの?』と軽い調子で言ったら、『そうじゃないけど。母親が似合わないって言うならそうなんだろうなって』とムッとしたような顔で返してきて、ちょっと雰囲気が悪くなりました。
そのときはそれ以上は言わず売り場を離れたのですが、やっぱりモヤモヤが消えなくて休憩でカフェに入ったときに、『私が勧めた服も試着してほしかったな』と言ったら、『そっちの理想を押し付けないでほしい』と素っ気ない口調で返されて、『この人は本当は変わる気なんてないのかもな』と感じて好意が冷めていきました。
いつものように盛り上がらないままバイバイしたのですが、夜になって『お母さんのことをからかわれたのが気分が悪かった』と彼からLINEでメッセージが送られてきて、それについては謝ったのですが、『いい大人なんだから、自分の好みで服を選んでもいいと思うよ』と送ったら既読スルー。
これでマザコンと決めつけるのはおかしいかもしれないけど、仲のいい女性から勧められたものより『子どものころに母親から似合わないと言われたこと』を成人になっても優先するのって、ちょっとおかしいなといまでも違和感を覚えます。
『変わりたい』と言いながら、実際は人の意見を母親のダメ出しを理由に拒否するって、付き合ったらほかの面でもこうなんだろうなとふと思い、そのまま距離を取りました。
正直に言えば、デートしているのに『お母さん』を持ち出されたこっちも相当気分が悪かったです」(25歳/接客業)
マザーコンプレックスといえば、リアルで関わる女性より自分の母親を第一に据えて従う男性の姿を想像しますが、こんなケースもあります。
女性が強く覚えた違和感は、「母親から似合わないと言われた色だから」という理由だけで手に取って見ることもしなかった男性の状態です。
男性は「変わりたい」と女性に伝えており、だから女性は親身になって男性にいいと思うものを探すわけで、その気持ちを昔の母親の意見で拒絶するような姿は、いい交際ができるとは思えないですよね。
何でも母親の意見を優先するわけじゃなくても、肝心な場面で成人になっても消えていない母親の影が見える男性は、自立心が低いと感じます。
極端にいえば幼少期に受けとった母親の言葉に、大人になったいまも支配されている状態であり、そこに別の女性が入り込む余地がないのであれば、今後もそうだろうと思うのは当然です。
男性に悪意はないのかもしれませんが、女性が寂しいと思った気持ちを「理想を押し付けるな」と感じる様子にも、他人の気持ちを尊重する意識が薄いと感じます。
マザコンと断定できない姿であっても、成人しても心が自立できていない男性との関係は慎重になるのが吉ですね。
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