夫婦は同じ寝室で一緒に寝るものと考えている人も多いですが、実は「夫婦円満でありながら別の寝室で寝ている」というふたりも少なくありません。
今回は、株式会社鶴亀が夫婦別室で寝ている方503人を対象に実施した「夫婦の寝室を別にしたきっかけに関する意識調査」をもとに、別室で寝ることになったきっかけや提案者、メリット・デメリットをご紹介します。
夫婦の寝室を別にしたきっかけは?
まずはじめに、夫婦別室で寝ているという503人に「寝室にしたきっかけ」を聞きました。
7位.同室だと狭い
「子どもが大きくなり、3人でひとつのベッドで寝るのは難しくなったため」(30代/女性)
「新居に越してきて寝室が狭く、とりあえず別で寝ることになったきり別室のまま」(30代/女性)
「荷物が増えて寝室が狭くなった」(60代以上/男性)
ご夫婦とお子さんが一緒に寝ている場合、ひとつのベッドで寝るのはさすがに狭く感じるでしょう。
夫婦のみの世帯でも「寝室が狭く、ダブルベッドが入らない」などのケースはありそうです。
ゆったり寝たいという理由で別室にしているご夫婦もいることがわかりました。
6位.体調不良になった
「夫が体調不良になり、うつらないようにと別にしたのがきっかけです」(40代/女性)
「私が風邪をひいてしまい、うつさないようにしてから」(50代/女性)
「発熱時などに感染を防ぐため別室で寝たら快適で、体調が回復してからも別室で寝ている」というパターンも多いとわかります。
夫婦が別室で寝るなんて考えていなかったという人も、意外なきっかけで「別室も意外といい」と思うことがあるかもしれません。
5位.適温が違う
「冷房が好きな私と苦手な妻で、お互いがしんどい思いをするから」(20代/男性)
「エアコンの温度設定でもめたので、別部屋にしました」(30代/女性)
「私は暑がり、夫は寒がりで、体感温度の差が違いすぎるから」(40代/女性)
「冷暖房の設定温度でもめた」などの体験談が寄せられています。
どちらかの希望を叶えると、もう片方が寒すぎたり暑すぎたりして寝られないと感じてしまうため、別室で寝ることにしたパターンです。
布団やパジャマで調節できないレベルの差がある場合には、別室にしたほうがストレスは少ないですね。
4位.一人で寝たい/一人の時間がほしい
「お互いのパーソナルスペースを確保したかった。一人になれる自分の時間をもちたかった」(30代/女性)
「一人のほうが落ち着いて寝られる」(40代/男性)
「夫が、誰かがそばにいると眠れない体質だったため」(50代/女性)
結婚後も、一人の時間や空間が必要と感じる人は多いのではないでしょうか。
また、他人がそばにいると落ち着いて寝られない人もいます。
一人のほうがリラックスできるという理由で、夫婦別室にしたご夫婦もあるとわかります。
「一人で寝たい人」と「一緒に寝たい人」のご夫婦だと、提案を受けた側がショックを受ける可能性もあるので、伝え方には配慮が必要でしょう。
3位.出産・育児を機に
「子どもが夫を見ると遊んでしまい、寝ないため」(20代/女性)
「子どもが産まれたので。私が仕事でほぼ毎日営業車に乗るので、睡眠不足だと危ないという妻の気遣い」(30代/男性)
「2歳の娘と1カ月の息子がいます。夜間授乳時に息子が泣くと娘も起きてしまうので、私は息子と、夫は娘と別部屋で寝ることにしました」(20代/女性)
「子どもが夜泣きするので、仕事がある夫は別室で寝る(母子が同室で寝る)」というパターンが多数。
きっかけは、妻から提案・夫から要望のどちらもありました。
夫が「別室で寝たい」と要望を出す場合、言い方によっては妻が「自分だけに育児を押し付けられた」と不満をもつ可能性もあるので、注意が必要でしょう。
2位.音が気になる
「夫のいびきがうるさくて、ぐっすり眠れないから」(20代/女性)
「パートナーのいびきがうるさい。自分の寝言がひどい」(40代/男性)
「昨日の夜はあなたのいびきがうるさくて寝られなかった、と不満そうに言われたことがきっかけ」(60代以上/男性)
夫婦別室の原因となった音としては、「いびき」「寝言」「夜中トイレに行くときの音」などが挙げられました。
なかでも多かったのは「いびき」です。配偶者が先に寝てしまうと、いびきがうるさくて寝付けないという人もいます。
配偶者が出す音で寝付けなかったり、夜中に起きてしまったりして、夫婦別室を考えた人も多いとわかりました。
1位.生活リズムの違い
「寝るタイミングも起きるタイミングも違うから」(20代/女性)
「夜勤業務が多く、活動時間が夫婦で異なることが多いため、別室で寝ることになりました」(30代/男性)
「夫が交代勤務になって、寝る時間が不規則になったため」(50代/女性)
「夜勤がある」「早朝から出かける」といった仕事をしている人の場合、家族と生活リズムが違うことも少なくありません。
帰宅時や起床時に配偶者やお子さんを起こしてしまわないよう、寝室を分けたという人が多くなりました。
また「夜型」「朝型」などの個人差もあります。本当は夜に活動したいのに家族に気兼ねしてできないため、夫婦別室を提案した人もいるようです。
これらのアンケートから、同室では支障が出たために別々の部屋で寝ることを選んだご夫婦が多いとわかります。
どちらかが、あるいはお互いに我慢していると、ストレスが溜まってしまうからですね。
また睡眠に支障があると、仕事面や健康面にも影響が出てきます。快適かつ元気に過ごすため、夫婦別室で寝ることを選んだご夫婦が多いのでしょう。
夫婦別室を提案したのはどっち?
夫婦別室を提案したのは「妻」が65.6%でした。
男性の方が女性よりも気道の長さが長く、舌が大きくて気道が閉塞しやすいため、男性のほうがいびきをかきやすいとされていることから、夫のいびきに悩む女性から提案するケースが多いと想像できますね。(参考:長良内科クリニック)
また、「お子さんがしっかり寝られる環境をつくりたい」「子どもの夜泣きで夫の仕事に支障が出ないように」といった理由で、別室を提案する女性も多いことがわかりました。
どちらかが提案したのではなく、「遅く帰ってきた夫が寝室以外で寝るようになり、自然と別室になった」というご家庭もありました。
夫婦別室にしてよかった人が95.4%
「夫婦別室にしてよかったか?」という質問には、「とてもよかった」「よかった」と回答した人が合わせて9割以上にのぼりました。
生活リズムの違いやいびきなどの問題を解消するために夫婦別室を選んだ人が多いため、問題が解消して満足しているのでしょう。
ただ「問題が解消して嬉しい一方、寂しくもある」と、複雑な思いを抱いている人も多いようです。とくに提案を受けた側は、寂しさが勝るかもしれません。
夫婦別室にしてよかったことは?
7位.子どもにとっていい
「子どもの生活リズムが安定した」(20代/女性)
「長女は自分のペースで眠れるため、次の日の保育園・小学校に支障をきたさなかったのでよかった」(30代/女性)
生活リズムが不規則な親御さんとお子さんが一緒の部屋で寝ていると、親御さんの帰宅や起床時にお子さんが起きてしまうことも。
お子さんの睡眠サイクルが乱れてしまうと、保育園や学校での過ごし方に影響がありそうで心配ですよね。
しかし部屋が別であれば、お子さんへの影響を小さくできます。
「寝かしつけの最中に配偶者が帰ってきて、最初からやり直しになる」という事態も避けやすいでしょう。
6位.感染症対策しやすい
「子どもが集団生活を送っていると風邪は日常茶飯事だが、夫にはうつりにくい」(30代/女性)
「感染症にかかった際、相手にうつさずにすむ」(40代/女性)
「感染症にかかったときに、自分の部屋があることで隔離が簡単だった」(50代/女性)
家族の誰かが感染症にかかると、寝室を別にするように指示されることもあります。
その際、もともと寝室が別であれば隔離先に困ることがありません。
寝室が複数あると、家庭内での感染を防ぎやすくなるメリットがあります。
5位.イライラが減る
「お互いストレスが減った」(30代/男性)
「相手に怒らなくてすむようになった」(30代/女性)
寝室を別にすれば、相手のいびきに「うるさい」と怒ることはありません。怒る側にとっても怒られる側にとっても、ストレスが減ります。
また、質のよい睡眠をとることでイライラしにくくなる効果もあります。
4位.好きな時間に寝られる
「寝る時間を気にしなくてすむようになった」(20代/男性)
「夫婦で就寝時間を合わせず、自分のペースで寝られるため」(30代/女性)
「好きなタイミングで寝られるので」(40代/男性)
夫婦で同じ寝室を使っていると、自分はもう少しベッドで読書をしていたくても「もう寝るからライトを消して」と言われてしまうことも。
しかし自分一人の寝室であれば、好きな時間まで起きて過ごし、好きなタイミングで寝られます。
とくに夜しか自由な時間がない人にとっては、好きなように夜の時間を使えるのは、大きなメリットでしょう。
3位.一人の時間や空間をもてる
「一人の時間をのびのびと過ごせる」(20代/女性)
「自分の時間をもてるのでゆっくりでき、気持ちにも余裕をもてる」(40代/女性)
寝室が一人だけの空間になりリラックスできるのも、夫婦が別室で寝るメリット。ネットサーフィンや読書も気兼ねなくできますね。
一人の時間と夫婦の時間のメリハリをつけることで、より夫婦の時間を大切にすることもできるのではないでしょうか。
2位.気をつかわなくていい
「朝早く起きる際に、夫や子どもの眠りを妨げずにすむ」(30代/女性)
「相手に気をつかわず、寝落ちするまで本を読めるようになった」(40代/男性)
「妻はちょっとした物音で目覚めてしまうタイプなので、同室だと気をつかいます。別室だと気をつかわなくていいので、よかったです」(50代/男性)
勤務時間の関係などで配偶者と生活リズムが違う場合、夫婦別室にすることで、帰宅時や就寝・起床時に気をつかわなくてよくなります。
また配偶者が「音」「匂い」「光」「寝返りなどで起きる振動」に敏感な人の場合も、気をつかうことが減って楽になるでしょう。
特に人といるとついつい気を遣ってしまう人にとっては、家のなかでの一人の時間や空間を持つことは精神安定につながりそうです。
1位.よく眠れる
「いびきが聞こえないので、以前よりよく眠れる」(30代/女性)
「しっかりと眠れる時間が多くなり、疲れも取れるようになった」(40代/男性)
「一緒に寝ていると起こされることがありました。別室なら一人なので、遠慮なく眠れて眠りが深くなりました」(50代/女性)
夫婦が別室で寝ることで、「静か」で「自分にとって快適な温度や明るさ」の寝室で寝られるようになります。相手の寝相に悩まされることもありません。
そのため寝つきがよくなり、ぐっすり眠れるようになり、体調がよくなったという体験談も多くなりました。
よく眠れるようになると、仕事や家事の効率もあがりそうですし、気分も晴れ晴れとしそうですね。
配偶者と一緒に寝ているせいで熟睡できないと感じている人は、一度夫婦別室を試してみてはいかがでしょうか。
夫婦別室にしてよくなかったことは?
続いて「夫婦別室にしてよくなかった」と答えた23人に「夫婦別室にしてよくなかった理由」を聞きました。
「会話が減り、スキンシップもなく距離ができてきた」(20代/女性)
「別室になったことで、子育てに参加していない感が強まった」(30代/男性)
「一人で眠ることが寂しいから」(40代/女性)
「喧嘩したときに、仲直りできず何日も長引いてしまう」(40代/女性)
「コミュニケーションが激減した。夫婦仲も悪くなりました」(40代/男性)
「コミュニケーション不足になる」と答えた人が多くなっています。
コミュニケーション不足や子育て分担の不公平感から、夫婦関係が悪化することもありそうですね。
寝室以外で夫婦のコミュニケーションを取るように、「食事の時間は一緒に」「休日に夫婦だけで会話をする時間を持つ」といった工夫が必要でしょう。
夫婦別室にしたら、夫婦仲は変わった?
「夫婦別室にしたことで夫婦仲がどうなったか」という質問には、「変わらない」と回答した人が52.2%で半数以上。
また「よくなった」と「悪くなかった」を比べると、「よくなった」という人のほうが多くなっています。
「夫婦別室で寝ると、夫婦仲が冷める」と言われることもありますが、実際に夫婦仲が悪くなったご家庭は少数派だとわかりました。
一緒に寝ていてイライラする状態から、別室でお互い干渉せず過ごせるようになるので、ほどよい距離感ができて仲良くできるのかもしれません。
また「夫婦・家族の時間」と「一人の時間」のメリハリをつけることで、心が安定する人もいるようです。
約8割は「今後も夫婦別室を続けていきたい」?
「今後も夫婦別室を続けていくか」を聞いたところ、「支障がない限り続ける」が8割近くにのぼりました。
「快適すぎていまさら2人で寝るなんて考えられない」という回答も寄せられています。
趣味や生活スタイルが多様化しているいま、夫婦別室は家族円満のひとつのかたちなのかもしれません。
なお同室に戻すことを検討するシチュエーションとしては、「高齢になってお互いの健康が心配になってきたら」が多く挙げられました。
一方で「子どもの夜泣きがおさまる」「夜勤から外れる」「いびきが改善する」など、夫婦別室の理由となっていることが解消したら同室に戻す予定の人も1割強。
夫婦同室へ戻るために、いびき治療に取り組んでいるというコメントもありました。
夫婦別室は一時的な措置と考えているご夫婦もいるとわかりますね。
お子さんが大きくなって一人部屋で寝るようになると、部屋数が足りなくなって夫婦同室に戻ることもあるでしょう。
「夫婦は同室で寝るもの」という固定観念を捨てて
「生活リズムの違い」「配偶者のいびきがうるさくて眠れない」などのストレスを解消しようと、夫婦別室で寝ることを選択するご夫婦も少なくありません。
別室にすることで、「ぐっすり寝られる」「相手に気をつかわなくてよい」などのメリットが生まれます。
お互いにしっかり寝られてストレスが減ることで、夫婦仲がよくなることも考えられます。
「同室でうまく寝られない」「どちらかが我慢している」という状態なら、夫婦は同室で寝るものという固定観念を捨てて、夫婦別々の寝室を検討してみてはいかがでしょうか。
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