みなさんこんにちは。飼い主たちが「犬を理解する」ために必要なことをメルマガ「ドッグペディア Doggies911」でご紹介している、Masumiです。
きょうは、うちにいたサミーとベル(ミニピンミックス)という犬が、2匹まとめて正式譲渡になったときのことをお話しします。
私の分析では、サミー(オス)は、共依存タイプ。すぐに人にベタベタして、常にくっつきたがり、ストーキングするタイプです。パニックになりやすい神経質な一面があります。
ベル(メス)は、ビビリで音や動きなどに、敏感。男性がとにかく苦手で、同じくパニックになりやすいタイプです。
この2匹は、別々の場所から来ました。どちらもシェルターに保護された犬で、2年以上、私がフォスター(預かり)をしておりました。
うちの犬として飼っても全く問題のない犬でしたが、ずっとこの子たちは「譲渡対象」の保護犬として、私と過ごしました。かといって、特別、私の犬と何ら変わりなく、餌もトリートも運動も分け隔てなく生活していました。
では、なぜサミーとベルを正式に自分の犬として認めなかったのか?その辺をまず説明しましょう。
犬たちは、飼い主を選ぶことはできない
ひとつには、この2匹のエネルギーレベルと私のレベルが不一致だったから。
この2匹は、人のアテンションをすごく欲しがる犬たちでした。とにかく構って貰えることで興奮しやすいタイプです。人に依存しやすい。そうなると、簡単に分離不安になるタイプです。
反面、私はというと、べたべたされることが苦手なタイプ。ベロベロ舐められるのも嫌いですし、ストーキングされたり、私が見えなくなると鼻なきをしたり…そういう「かまってちゃん」は特に苦手です。
いつも求める犬や人は苦手で、自立した人や犬が好きなんですね。これは全くの好みの問題ですが…。
そのため犬たちのニーズを満たすためには、私が「努力」をしなければなりません。ときには構ってあげなければならないし…そうなるとベロベロに舐められたり、飛び掛かられたりがエスカレートするでしょう。
エスカレートすると、結局私も我慢を強いられるわけですし、限界もあります。それは私のストレスになり、犬たちにとってもその興奮やアテンションを貰えないことがストレスになる可能性があります。
適度にこの子たちの要求を満たし、もちろん、きちんとしたルールのなかでこの子たちが生活できることを望んでいたのです。
サミーとベルを私の犬にしなかった理由は、犬も私も「我慢」や「努力」が少なくとも必要で、それがお互いにストレスになるからです。わかりやすくいえば、バイブスが合わない…チャンネルが合わないという理由ですかね。
犬たちは、飼い主を選ぶことはできません。運動が大嫌いな人が、見た目の可愛さで、運動量の必要な仔犬を飼うとするならば、これもまたお互いのストレスになるわけですから、きちんと「バイブス」「エネルギーレベル」がマッチングしないといけません。
お金を出して犬を飼う場合は、好みの犬を飼うことができます。犬には飼い主を選ぶ権利なんてなく、お金と引き換えに連れて行かれる場所が、飼われる場所となります。
でも、蓋を開けてみたら、全然予想と違ったり、理想から遥かに遠い犬であったりすることがあります。
犬には選択はありません。飼われることも、捨てられることも、犬が望んでいようがいまいが、ことを変えることはできないんです。
一度譲渡された犬がリターンされた理由
飼い主を選んであげることができる保護犬は、その点幸せなのかもしれません。
ベルとサミーはまだ若い犬。エネルギーもあるし、人にまとわりつくことが好きな犬です。だから、纏わりつかれることが好きな人、犬からベロベロに舐められることも嫌いではなく、むしろそういう犬を好んでいる人…なおかつ、きちんとした「犬の知識」がある人。そういう人を、この2匹には望んでいました。
サミーもベルも、一度譲渡された犬です。そして2匹とも、リターンされてきました。
サミーがリターンされた理由は、譲渡先の人(60代の女性)がひとり暮らしだったのですが、事情が変わったんです。彼女の娘さんが、子どもを3人つれて離婚して帰省されたらしく、元々ひとりで暮らしていた彼女の家に、いきなり4人の家族が増えました。
サミーは子どもを怖がります。いきなり触ったり、捕まえようとしたり、急に動いたり、音を立てたり、サミーの予測不可能な行動を取るからです。だから、子どものいる家庭には、サミーは譲渡させないことにしていました。
でも、譲渡先側の事情が変わって、サミーが追い出された形になりますね。
子どもを噛んだんです。もちろん悪いのは子どもたちでした。だから、私が「サミーを返してくれ」と引き取りに行きました。
ベルの場合のリターンは少し違います。ベルはどうしても男性が苦手で、とにかく怯えます。過去に何があったのかは知る由もなく、男性からは逃げまわるんです。
そのベルに譲渡申し込みがあったんですが、男性でした。年齢は40代。この方にはベルの性格、特徴、苦手なことなど、全部を話しました。もちろん、男性が苦手であることもです。
やんわりと断ったつもりだったんですが、この男性は「自分はヨガのインストラクターをしている」という自負があり、自分がいかに落ち着いていて、醸し出すエネルギーも肯定的なものでポジティブな人間だから…と、「ベルと俺は固い絆を構築できる!」と自信満々で、ベルの譲渡を諦めませんでした。
ヨガや瞑想をやっているときは、そりゃ、そうかもしれませんが、普段の生活を仙人のように過ごしているわけではありません。
そんなことを私が説明しても、彼は聞く耳を持たず…。ベルを譲渡したいと譲らないので、2週間のトライアル以上に時間が掛かるはずという私のいうことにも納得せず、譲渡になりました。
私は毎週、この男性に電話して、ベルがどういう状況にいるか、ちゃんと懐いたか…など確認の連絡をしていました。
その度に「俺とベルなら大丈夫!」と言っていたのですが、2カ月後、この男性から電話があり、「ギブアップ」ということでした。「懐かない」「逃げる」「おしっこを漏らす」これらの理由でリターンです。
つまりベルの信頼を得ることができなかったんです。