「好きだから結婚したい」のだと思っていた
アン:でもしばらくして、彼にはまだまだ結婚の意思がないことを知った。彼には明確な人生プランがあったの。
編集K:結婚の意思がなかったわけではないんですよね?
アン:結婚はしたいっていってた。でも、それが5年後だったんだよね。
編集K:あと5年も、必ず結婚できるかもわからない人と見知らぬ地で暮らさないといけないのってつらくないですか?私なら絶対に耐えられない。
アン:しかも、5年後って私32歳だよって。実はずっと20代のうちに結婚したいと思っていたから、一気に夢から覚めた。頭を鈍器で叩かれたような、そんな衝撃が走って。それから8カ月後、彼とサヨナラしたわ。
編集K:ちゃんと別れられたんですね。でも、趣味のライブでは顔を合わせるわけじゃないですか。気まずくはなかったんですか?
アン:別れてからは、ライブハウスで彼の姿を見ることはなかったよ。共通の友人に話を聞くと、将来のことを考えて貯金をしたいからライブは控えてるっていってたかな。
編集K:少しも引きずらなかったんですか?
アン:いや、だいぶ引きずったね。「やっぱり別れなきゃよかったな」とか、「これから良い人に出会う気がしない」とか。なんなら、5年待った方が早く結婚できたんじゃないかって。でも、それから半年後、新しい彼氏ができた。
編集K:今度はどんな彼?
アン:元カレと知り合ったきっかけとなったバンドのライブで、なかよくしていた友だちよ。
編集K:えっ!?ということは、元カレとも友だち…?
アン:そう。
編集K:なかなかエグい…。
アン:元カレとも交流がある、3歳年下の人で。正直、収入は低くて、顔もまったく好みじゃないの。自信は皆無で、やさしすぎて頼りないほど。
編集K:でも、告白されたから付き合った?
アン:うん。そのときは全然好きじゃなかったし、気になってさえもいなかった。周りから”妥協”といわれても否定できなかったね。
編集K:清々しいですね…その彼は、今度結婚する旦那さん?
アン:そう。彼にプロポーズされてからわかったんだけど、私は「好きだから結婚したい」んじゃなくて、「結婚したいから好き」になる側の人間なんだって。
編集K:結婚したいから好きになる。そういう価値観も、ひとつの個性ですね。なぜ、その考えに至ったんですか?
アン:私は多分、周りから取り残されたくないという意思が、人一倍強かったのよ。