3年目で出た、同棲の話
編集K:遠距離だし、同棲も正直難しいですよね。
アン:それが、付き合って3年目くらいで同棲の話が出たのよ。当時勤めていた職場に不満があった彼から「東京の会社に転職するからいっしょに住まないか」と提案されたの。
編集K:いいじゃないですか!都内に同棲!結婚にも近づく気がします。
アン:私もそう思った。でも、一向に転職活動を始めないのよ。このころから愚痴も増えて、ちょっとだけ苦痛だった。
編集K:やっと会えたのに愚痴ばっかりはキツいなぁ。
アン:だから「転職活動はどんな感じなの?」「早くいっしょに暮らしたいね」って逐一伝えるようにしてた。そしたら、「実は、地元で転職したいんだ」っていわれちゃって。
編集K:聞いてた話と違う!
アン:「同棲は無理だね」っていったら「アンに長野に来てほしい」って。
編集K:えっなんですかそれ?プロポーズ?
アン:だと思うよね。お互い両親とは会っていて挨拶も済んでたし、指輪だってプレゼントされてたから。産まれてからずっと東京で暮らしてきた私に、長野で生活できるかと聞かれたらちょっと無理があった。でも、結婚するためにはそれくらい我慢しなくちゃって思ったの。
編集K:アンさんのご両親からは反対されなかったんですか?ひとり娘ですよね?
アン:もちろん、大反対。結婚ならまだしも、同棲というだけで長野には行かせられないっていわれた。ちいさいころから厳しく育てられて、なんでも両親の言いなりになってきた私は、初めて反発した。それで喧嘩して、そのまま彼のいる長野まで新幹線で向かった。
編集K:家出少女…。
アン:でも、そのとき。彼の地元を”これから住むことになる場所”として見たときに、「無理かもしれない」と初めて思った。だって、両親も、友だちも、みんな東京にいるから。3年続けた職場も変えなければいけないしね。知り合いがひとりもいない土地で、慣れない仕事をして、彼とふたり。土地勘もないから休日何をして過ごしていいかわからない。
編集K:彼の友人を紹介してもらえるとしても、それはそれで気をつかいそうですしね。
アン:そうなのよ。でも、最初は彼がいれば良いと思ってた。結婚するんだから、それくらい乗り越えないといけないと思ってたんだよね。