いま思えば、「ゼクハラ」?
アン:いまの彼と付き合ってからは、言葉の端々に”結婚したい感”を匂わせてた。
編集K:たとえばどんな感じに?
アン:「周りがどんどん結婚していく」とか「若いうちに結婚したい」とか「もうすぐ28歳だしそろそろ…」とか。職場の悩み相談と見せかけて、「寿退社しちゃおうかな」とか。
編集K:それ、結婚を考えてない状態で言われたら、ちょっとウザいかも…。
アン:だよね(笑)。でも当時の私は必死で、そんなこと考えてもみなかった。いま思えば”ゼクハラ”だよね。
編集K:ゼクハラ?
アン:ゼクシィハラスメントのこと!結婚情報誌の「ゼクシィ」をもじった言葉で、結婚のプレッシャーをかけるハラスメントをさす言葉よ。もちろん、ゼクシィが悪いわけじゃないけどね。
編集K:うまいこといいますね(笑)
アン:1年かけて無意識のプチゼクハラを続けたら、28歳の誕生日にプロポーズされたの。
編集K:思い通りじゃないですか。
アン:そう。年下のやさしい彼のことだから、結婚してくれるとは思っていたけど。
編集K:すごいなぁ…でも、そこまで「結婚」に執着していたんですもんね。何かデメリットというか、そういうのはいまのところないんですか?
アン:う〜ん、そうだなぁ…やっぱり急な結婚だったから、お金がなくて。式は諦めざるを得なかった。友人たちがウエディングドレスを着て、多くの人に祝福されて、キラキラしている姿を見るとちょっとだけさみしい気持ちになるかな。
編集K:ある意味、贅沢な悩みですね。
アン:本当にね(笑)。でも、いまとっても幸せなんだよね。心からそう思える。
編集K:はじまりは”妥協”だったとしても、今は幸せで、心から愛しているんですよね。すごく良いことじゃないですか。
アン:たまに、「なんでそんなに結婚に固執するの」って引かれることもあるんだけど、そんなの人それぞれだし。幼い女の子へピンクの服を渡されることが当たり前だったひと昔前のように、私は結婚することがごく当たり前だと思っていて。結婚はずっと私の憧れだったし、そう考えることは決して悪いことではないと思う。
編集K:確かに、自分の意思で、好きなピンクの服を選んでいる人までバッシングすることはないですね。
アン:結婚しない選択をする人もいれば、絶対に結婚したいと思う人もいる。妥協したくない人もいれば、妥協してでも結婚という形にこだわる人もいるんだと思う。「結婚がすべてじゃない」なんてよく聞くけど、私にとっては結婚がすべてだった。どんな形にせよ、自分が幸せならそれでいいじゃないかと思うんだよね。