子どもが少し成長して身の回りのことをできるようになったり、意思疎通が取れるようになったりしてくると、赤ちゃんだったころとは別の悩みが出てくる人もいるのではないでしょうか。子どもとのかかわりかたに自信が持てなくなったり、子どもの可能性を広げてあげるために何をすればいいかわからなくなったり…。
今回は、「働く」と「子育て」をみんなで考えるイベント「WORKO!フェス2019」のステージ「開成中学・高校の柳沢校長が教える 10歳までの子育てのポイント~男の子、女の子の違いって?~」の模様をお届け。
メインスピーカーは、2人のお子さんの子育て経験を持ち、東京大学、ハーバード大学での教授を経て、2011年より開成中学・高校の校長をつとめる柳沢幸雄先生。
日本トップクラスの学校へ通う子どもたちと接してきたからこそ伝えられる、子育てのヒントにはどのようなものがあるのでしょうか。子育て中のパパママから寄せられた5つの質問に対する柳沢校長の答えを見ていきましょう。
子どもはうまく話せなくて「当たり前」
Q:小学生の子どもに「きょう、学校どうだった?」と聞いても、「普通」「楽しかった」としか返ってきません。親としては、学校でどんな風に過ごしているのか子どもの口から聞きたいのですが…。
A:うまくしゃべれないのが当たり前の年代。「5W1H」で子どもの話を引き出そう。
小学3年生の男の子と保育園年中の女の子を育てるフリーアナウンサーの安田美香さんの悩みは「小学生の子どもが学校での出来事を話してくれない」こと。AERA編集長で、小学4年生の女の子のママでもある進行役の片桐圭子さんも同様の悩みを持っています。
柳沢先生:「みなさん、英語を何年間勉強してきましたか?大学まで出られている方は、少なくとも10年間はやってきているはずです。じゃあ「自分のことを英語で説明してください」と突然言われたら、話せるでしょうか?
それと同じで、小学生の子どもにとって日本語は、産まれてからわずか数年間しか経験していない言葉です。その言葉を使って話してといわれても、困ってしまいますよね。しゃべらないのは当たり前で、親がうまく聞き出すことが重要です。
たとえば「学校はどうだった?」と聞いて「楽しかったよ」と言われたら、「何が?」「誰と?」「どこで?」というように、子どもがひとつずつ答えられるように質問を投げかける。英語でいう「5W1H」ですね。子どもがしゃべれる年齢になったら、そうやってどんどん話を引き出してあげましょう。5W1Hで聞くことを習慣づけると、やがて子どもの読解力が伸びたり、論理的な表現ができたりすることにもつながります」
やる気スイッチでおなじみの、知育・小学校受験対策を行うチャイルドアイズ事業責任者の鈴木愛子さんは、人の話を「聞ける子」になるためのポイントを教えてくれました。
鈴木さん:「お子様が話しはじめたら、まずは目を見てじっくりと話を聞いてあげてください。せっかくお子様が話しているのに「(それは)違うでしょ」などと口をはさんでしまうと、話す意欲をなくします。自分の話をたくさん聞いてもらった経験のあるお子様は、自然と人の話も聞けるようになります」
親の声がけや心がけ次第で、子どもの話す力や聞く力を伸ばしてあげることができそうですね。