選択と集中。業務の整理・整頓。働き方改革も進むなか、これらの言葉をスローガンに、組織マネジメントを行なっている方は多いかと思います。
スローガンにしていなくても、必須の考え方であると感じている方は多いはずです。しかし、実際にできていますか?
「できない計画」は部下のモチベーションを下げる
組織インタビューを行なうと、「できない計画」というキーワードが必ずといって良いほど出てきます。これは、計画の時点で現場の方々が実行不可能であろうと半ばあきらめ、あきれている表現です。
もちろん、ゆるゆるの計画では組織の競争力を維持することはできません。しかし、実際には多くの計画が「遅延を起こす」か、納期優先で「品質(内容)の妥協」の繰り返しです。
その結果、後になって余計な業務が増え、業務効率も業務品質も低下してしまい、個々のモチベーションも下がっていく。そして、社員はどんどん疲弊していきます。
マネージャーが初めに優先順位をつけたり、取捨選択をしないと、多くのムダを生み出してしまうのです。
部下のなかには、そのムダをより効率的にこなすことに一生懸命になっている人もいます。これを極端にいえば、自分でゴミを散らかし、そのゴミを効率的に拾うことに四苦八苦しているようなもの。
「やる・やらない」「進める・一旦ステイ」の取捨選択をしなかった結果が、現場の非効率的な業務に繋がっているのです。そしてそれは、現場の方々の頑張りが成果に繋がらないことを意味します。これこそが大きな問題なのです。
選択ができないマネージャーは部下を疲弊させる
選択するから集中できるのに、その選択ができていない。整理できないから、整頓もできない。そもそも「やるしかない」んだから、全部をなんとか頑張ってやる。部下は、きっとそんな状態。もちろん、それでできれば最良でしょう。
しかし、それができずに、納期遅延を起こしたり、品質の低下を招いている場合。どこかで、決断が必要だと思いませんか?選択するというのは、不要なものを捨て、必要なものを選ぶことです。
「不要なものなどない」と多くの方が思っているはず。確かに、不必要なものなどないかもしれません。しかし、その考え方が選択をあいまいにし、決断を躊躇させています。では、それで競合に勝てるでしょうか。
全部やれたら最良なのはわかっています。でも、今の状況ではそれができない。納期遅延を起こすか、品質を妥協することになる。それでも「頑張るしかない」ではなく、まずは現場がその状態であることをしっかりと認識すること。
もちろん、成長を期待し、教育をしていくことも重要です。しかし、今信用をなくせば、未来はありません。その危機感が選択する勇気、断る勇気を生みます。
現場を知る大切さ
なあなあにやっていてはダメ。部下が離れていってからでは、仕事が減ってからでは遅いのです。忙しいいまだから、選択すること、整理することがマネジメントの重要な仕事。ここで大きな差がつくでしょう。
現状把握なくして決断などできない。だから、現場を知ることが必須なのです。現場を知っているからこそ、決断できる。実質的な価値は、現場からしか生まれません。
その価値を最大限にするために、しっかりと計画を立てる。計画は段取りです。命令するだけですべてができる…そんな楽なことはありません。管理の前に、しっかりとマネジメントをしましょう。
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