部下に結果をすぐに求めてしまう。自分ばかり仕事をしている気がする。上司、同僚、自分の後輩、他部署が気になってイライラする。そんなかたは、いま「心が不健康」かもしれません。
心が健康な状態でなければ、マネジメントにも自分の業務にも支障をきたしてしまいます。そこできょうは上司・部下それぞれの立場の「心の健康」についてお話をします。
マネジメントで重要な「心の健康」
「メンタルヘルス」という言葉が当たり前に語られるようになりましたが、マネジメントにおいて、心の健康はとても重要な要素のひとつです。
そんななか、「最近の若いやつは根性がない」「叱るとすぐパワハラだとかいってくるし…」「辞めるときは逆ギレしてくる」など多くの愚痴も聞かれます。
たしかに、昔のマネジメントは楽でした。「部下は上司の命令に従う」これが当たり前だったからです。要するに、トップダウンマネジメントですね。しかし、最近ではそれが通用しなくなってきました。それはふたつの要素で説明できます。
ひとつは、「納得」か「信頼」が必要になったことです。ただ命令に従うのではなく、納得感が必要になっています。しかし、すべてを納得させることは難しいでしょう。そこで、信頼感が必要になります。これまでの「圧力」だけでは、競争力を得られなくなったからです。
納得感にしても信頼感にしても、重要なのがコミュケーション。相手(部下)のことを理解する必要があり、一方的な指示命令ではそれは叶いません。
もうひとつは、「要求レベルの向上」です。グローバルの競争が当たり前になり、指示命令だけでは勝ち抜けなくなってきました。
部下には自律的に改善改革を進めながら、業務のなかで競争力を上げることも求められます。そのために成長する環境を作ることも必須です。当然ですが、年々能力を向上してもらわなければ組織力は向上しません。
しかし、その前にもっと重要なことがあります。それは、「部下の能力を十分に発揮できる環境を整える」ということ。
そしてそれ以上に重要なことが、「心の健康」です。もっともわかりやすいのは、モチベーションでしょうか。心が不健康な状態でモチベーションは上がりませんよね。
心の健康を維持するためには?
その心の健康に最も影響を与えるのが、「人間関係」です。上司と部下の関係はよくも悪くも、組織内でもっとも人間関係に影響を与えます。
組織内や組織間でも人間関係が問題になることもありますが、上司と部下の関係が良好であればすぐに相談もできます。上司と部下の関係が組織内での人間関係の原点といっても過言ではないのです。
体の健康は気づきやすいですが、心の健康は潜在しやすくなかなか見えません。だから、心の健康を意識する。心の健康に影響するのは、人間関係の基本「コミュケーション」です。
ここで注意点があります。それは、自分自身の心の健康です。多くの管理職のかたはストレスにより、すぐにイライラしたり、結果をすぐに求めたり、自分では気づかないうちに余裕のない対応になっていることが少なくありません。
バロメーターのひとつが、部下の話を聴けるかどうかです。もし、すぐにイライラするようなら要注意です。
上司の心が健康でなくて、部下の心が健康になるはずがありません。だから、まずは自分自身の心の健康を意識してください。これが、マネジメントの基本です。