周りにイライラしたとき、どうすればいい?
次は、部下の「心の健康」です。いま組織にお伺いすると、心が不健康なまま懸命に仕事に取り組んでいるかたが非常に多いです。
特に仕事に打ち込むべき能力を周りの状況に蝕まれているかたが多く、多くのかたはそのことに気づいていません。
それが見て取れるのが、「周りのことが気になる」という人が多いことです。特に周りの人の悪いところ。上司に対してもそうですし、同僚や自分の後輩、他部署に対して。さらに、会社のやりかたまで…。
もちろん、すべてが満足することはないでしょう。逆に不満がないというのも問題です。ただ、何かにつけて「周りが気になる」「悪い部分が見えてくる」。気にしていないつもりでも「目に入るとイライラする」。
カウンセリングやインタビューで、周りの方々の仕事ぶりについて不満を述べるかたはたくさんいます。それはただのワガママではなく、その評価自体は間違っていません。
しかし、そのように周りが常に気になるかたは「自分自身が見えていない」かたが多いです。もちろん完璧な人などいませんから、自分自身にも落ち度があるときもあります。
それは誰もが認識していることで、無視しているわけではありません。ただ自分が見えていないのです。というよりも、自分を見ていないことに気づいていません。
そうなる要因のひとつが、「自分の周りを見る目は正しい」という想いがあり、「ちゃんとしていない」という事実があるからです。しかし、周りが気になることで、自己の能力が十分に発揮されていないことに気づいていません。
集中できていないのですから、能力が損なわれるのは必然です。でも、そこに気づかない。落ち度はなくても、十分に能力が発揮できていない。
それは逆に周りから見ると、周りを批判はするが「本人もできるのにやっていない!」そんな風に見えることもあります。悪くいえば、「自分を棚に上げて批判ばかり!」そんな風に見られているかもしれません。
もし、「周りが気になってイライラする」「自分だけが仕事をしている」「自分だけが損をしている」そんな風に周りに批判的になったり、自分だけが苦労しているように感じたら、ちょっと心が不健康になっています。
もちろん、その要因はいろいろあります。当然、不満もあるでしょう。しかし何よりも、それは自己の能力が十分に発揮できない状態であり、不満が負の方向に向かっている、とてももったいない状態です。
「仕事はちゃんとすべき」「周りとは協力すべき」「積極的に仕事をすべき」というような「べき論」に心が縛られているかもしれません。正しいことかもしれませんが、心の柔軟性はなくなっています。
それは心の余裕がなくなっていることでもあり、この余裕のなさが焦りを生みます。「周りを許せ」とはいいません。ただ、柔軟性を失った心は、発想も行動も柔軟性を失います。それは、何度もいいますが、自己の能力を十分に発揮できない状態です。
周りに対して批判的になり、「○○すべき」と思っていたら、心が硬くなっています。一度力を抜いて、自分のべき論を振り返ってみましょう。
柔軟性を取り戻せば、発想も行動ももっと自由になれます。心も体も、柔軟性が大切なのです。
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