ネーミング変更した商品
アメリカでも「Mr.ポテトヘッド」と「Mrs.ポテトヘッド」(ディズニーアニメ『トイストーリー』シリーズにも登場するオモチャ)の名称が、男性に使用する「Mr.」を使っていることに違和感があるとして、ジェンダー・ニュートラルなブランド名「Mr.」を排除したのは最近の話。
ジェンダー的視点からだけではなく、人種差別からの視点でも時代は変化していて、黒人差別の撤廃を訴える「Black Lives Matter(ブラックライブズマター)」運動が始まってからは、企業やアーティストまでもが次々にネーミング変更をしています。
シロップやホットケーキのパッケージデザインにあしらわれていた人気商品「アント・ジェマイマ(Aunt Jemima)」のブランド名変更は発表されたし、バターの人気メーカー「ランド オー レイクス(Land O’Lakes)」もネイティブアメリカンのイラストが描かれていたものを排除。
ダヴなど人気スキンケアを取り扱う「ユニリーバ(Unilever)社」だって、同社製品から明るい肌色「ホワイトニング」「ライトニング」などといったワードや表現を、数カ月以内に商品名から削除すると発表しました。
人種問題からの視点だけでなく、今度は「動物愛護」の視点からも一部の「クレーム」により、対応を余儀なくされているものがあります。
米大手スーパーチェーンの「トレーダジョーズ(Trader Joe’s)」で、人気のお菓子「バンバ・ピーナット・スナックス」は、サーカスでの象の曲芸をイメージさせるパッケージであったことから、動物の権利(アニマルライツ)を守るための米運動団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」からクレームが入りました。もちろん、会社側はパッケージを変えての再販売を約束したそうです。
時代の変化に伴い、変化していくけれど
問題は、ごく一部の「クレーム」により昔の常識が「いまの常識」に強要されていること。イチャモンを付けられると、すぐに行動に移す、あるいは、イチャモンを付けられる前に手を打つという瞬足さ。
過去の非常識はいまの常識、いまの常識は未来の非常識といわれることも多い。たとえば、昔、子どもは大人に対して「元気よく挨拶をしましょう」という道徳がありました。
学校でもそう教育されていたし、近所の「頑固ジジイ」はどこにでもいて、身内以外のおじさんやおばさんにもよく怒られたものです。大人は子どもを導き、守るという使命感のようなものがありました。だからこそ、近所のおばさんにも「暗くなる前に帰りなさい」とかいわれたのでしょう。
でもいまの教育では「知らない人とは話をしないこと」が常識で、大人の我々が安易に子どもに声を掛けようものなら、警察をよばれかねません。
このように時代が変化していることに、柔軟な対応が必要とされるのですが、一種の過剰な「権利の主張」というものが、「切り札」になっているようにも感じてしまいます。