こんにちは。韓国在住歴3年、日本語教師でライターのHAZUKIです。今回は、2021年5月23日〜29日に「韓国で話題になった日本のニュース」をご紹介します。
日本人はオリンピック開催をどう感じているの?
5月16日〜22日の期間では、「新垣結衣さんと星野源さんの結婚報道」がもっとも話題になっていましたが、先週は日本の「オリンピック関連」のニュースに注目している人が多いようでした。
韓国の検索サイト「NAVER(ネイバー)」で、「日本」と検索すると関連で出てくる言葉のトップが「コロナ」、2番目が「オリンピック」です。
朝日新聞社が菅総理に対し、「オリンピック中止を決断するよう促した」ことが、5月26日、韓国の放送局・SBSによって報道されました。
筆者のまわりの反応やSNSなどを見ていていると、韓国人が気になっているのは「東京オリンピックは開催されるのか」ということよりも、「オリンピック開催について日本人はどのように感じているのか」ということです。
韓国人だけではなく、外国人は「日本人は本音をいわない」というイメージを強く持っているようです。
筆者は日系企業の韓国支社に日本語の授業をしに行くこともあるのですが、そこの社員たちも、日本人と話すときに大切なのは、「相手が本音をいっているのか建て前をいっているのかを判断することだ」と話していました。それくらい、日本人の本音を聞くことは大変だという認識があるそうです。
多くの日本人が韓国メディアから「東京オリンピック開催についてどう思うか?」について街頭インタビューを受けており、その回答から日本人の本音を見つけようとする人たちもいました。
日韓でこんなに違う、新型コロナ対応
またオリンピック開催のニュースと関連して、日本と韓国の「入国・帰国した人に対する政府の対応」も話題になっていました。
筆者の友人に、日韓両国で隔離を経験した人がいるので、実際にヒアリングを行い、また厚生労働省の水際対策についての発表内容とあわせて比較してみました。
隔離期間
- 日本:14日
- 韓国:14日
隔離場所
- 日本:政府が指定した宿泊施設(登録待機先)、自宅も可
- 韓国:政府が指定した宿泊施設(登録待機先)、自宅不可(2021年1月から自宅に家族と隔離できる空間がある場合、自宅も可)
隔離場所までの移動手段
- 日本:「タクシーを含む公共交通機関以外」と決められており、たいていは家族や知り合いが迎えに来る。しかし隔離場所まで送ってくれる人がいない場合、「羽田空港や成田空港から公共交通機関を利用しようと思えばできてしまう現状がある」と東洋経済オンライン(2020年11月27日)も伝えています。筆者の友人も「誰かが見張っているわけではないので、やろうと思ったら簡単にできると思う」とのこと。
- 韓国:空港からは、専用のバスやKTX(韓国版新幹線のようなもの)の入国者専用車両に乗って移動する。場合によっては救急車が出動することもある。
隔離期間中の食事
- 日本:入国・帰国した人への配給はない。「他者と接触しない」よう要請されており、スーパーやコンビニに行くことは規制されているが、あくまでも「要請」。前述の東洋経済オンライン(2020年11月27日)にも「いったん到着ロビーに出ると、買い物をしようが、お茶を飲もうが、宅配便を出しに行こうが一切お咎めがない」とある通り、渡航者の行動が取り締まられているわけではない。
- 韓国:入国したその日に支援物資をもらえる。ラーメンやレトルト食品、水、お菓子など日持ちするものを一度に受け取ることができるため、スーパーやコンビニに行く必要はない。位置追跡アプリで監視され、部屋の外に出ることは認められていない。
隔離期間の自由度
- 日本:高い。基本的に全て「要請」レベルで、本人の良心に任せる方針。
- 韓国:低い。位置追跡アプリで外に出たらすぐにバレるため、部屋から一歩も出られない。その代わり、何か必要な物があったときには、保健所に電話すれば大抵のことは対応してくれる。SNS上には「乾電池を用意してもらった」というエピソードも。
隔離期間中の義務
- 日本:位置情報確認アプリ(OEL)を用いた1日2回の現在地報告と健康状態のメール報告。入国者健康確認センターから随時居所確認が入るが、5月23日のフジテレビ「日曜報道THE PRIME」が、厚生労働省などの調べ(5月9日~15日の平均値)で健康状態の毎日確認に応じていない人が22.3%、位置情報の毎日確認に応じていない人が29.4%(両項目ともに全対象者は2万2589人)と報じている。一部アプリの不具合も出ているよう(東洋経済オンライン・2021年5月27日)。筆者の友人の話では、「電話確認は自動音声なので、すべて『いいえ』と答えれば完了する」。
- 韓国:入国の際、スマホに位置追跡アプリをインストールし、そのアプリを利用して1日2回体調チェックを送信。保健所から数回電話が来るので必ず応答する義務がある。
そのほかにも入国時に記入する「質問票」に記載した(家族など本人以外に連絡の取れる人の)電話番号に、韓国は真夜中であっても電話をかけ、本当に通じるのかどうか確認されますが、日本は記入のみで確認まではされなかったようです。
「日本は準備書類がかなり多いいけれど、それ以外は割と自由。韓国は書類の数は日本に比べればずいぶん少ないけれど、そのあとの管理が徹底されている」というのが筆者の友人が抱いた印象のようです。
筆者の知り合いが隔離されたのは、日本では2020年12月、韓国では2021年2月なので、いまは少し対応がかわっているかもしれません。
しかし日本の外国からの入国・帰国者への対応が、筆者には少し甘く見えてしまいます。オリンピック開催にあたり、感染力の高い変異株の出現している国からの選手・関係者が入国することになれば、日本国内で不安を感じる人もますます増えていくでしょう。
そのときに「これだけの対策を行っているから大丈夫」と政府が自信を持って断言できる、そんな対応を講じてほしいと思います。
- 参考:SBS、厚生労働省、Coronavirus Disease-19, Republic of Korea、東洋経済オンライン(2020年11月27日)、東洋経済オンライン・2021年5月27日
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。