「自分らしく」へのハードル
レディースクリニックやそれ以外の医院だけではなく、名前や身分証明書を提示する場合すべてで、信じてもらえなかったり説明がいることを、少し想像してみてください。
就職に必要な履歴書もそうです。戸籍上の性を書けば外見の性とのギャップで強制的に実質のカムアウトになるし、逆であれば戸籍上の性との不一致を問われることになってしまいます。
この不本意なカムアウトがきっかけで不採用になったり、知られたくはなかったのに働き始めた際に周囲に広まっており、結果として働きにくさへ繋がってしまうことが考えられます。
冒頭で書いた「自分らしい姿」は、ファッションで解決する場合もあれば、身体の性を心の性に合わせる手術などをしなければ解決しない場合もあるでしょう。
自分らしい姿を選択するかどうかは自分で選ぶとはいえ、選ぶこと自体に本人に非はありません。それなのに起こり得る問題や、不都合があまりに大きいと僕は考えます。
今回実際に体験したことから調べて気付き、まとめたこの内容に対して、明確な答えは一体何なのか?正直、僕にはわかりません。
レディースクリニックはセクシュアルマイノリティだけではなく、シス女性(身体的性と性自認が一致している女性)にとって居心地のいい場所であってほしいし、保険証も男性と女性の身体の構造が違う以上、心の性に表記を合わせることで発生するリスクもあるでしょう。
しかしながら、履歴書に関しては各企業で改善できる部分が大きいと感じるので、不本意なカムアウトがなくなるよう改善していくことはできるのではないでしょうか。正解はわからなくても、考えたり、少なくとも知ることが必要だと考えます。
僕自身、セクシュアルマイノリティというくくりのなかでは知らない部分がまだまだあると感じていて、そして今後もっと知っていきたい。そして、できればこの記事を読んでくれたあなたのように、一緒に知って、共に考えてくれる人がひとりでも多く増えることを、僕は願っています。
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