クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
女性にもムダ毛は生える。そう知っていても「女性は毛を剃るべきだ」「女性は脱毛サロンに行くべきだ」といった押し付けや雰囲気が、まだまだ存在するように感じます。
ですが、この「女性は〜すべき」はなぜ存在するのでしょうか。また、なぜそう言われるようになったのでしょうか。
現代の社会では、女性だけでなく男性に対しても、であるべき姿を期待しているような風潮があります。そういった枠に当てはめようとすることで、生きづらさを感じる人は多くいるはず…。
そこで、今回は筆者の経験を交えながら「女性のムダ毛」「女性・男性らしさの押し付け」について考えてみたいと思います。
「女性はムダ毛を剃るべきだ」無意識に当たり前になっていた価値観
思春期に突入した中高生時代。ムダ毛が生えてくることに敏感であったことをいまでも覚えています。
特に目立つ脇や腕の毛がとてもイヤで、初めてカミソリを片手に持ちました。すでに私の周りの女友達はムダ毛を剃り始めていましたが「一度剃ると毛が太くなり、かえって目立ってしまうのでは…」と思い、カミソリを使うことを躊躇していました。
それでも、周りが毛を剃り始めたことで「毛は剃ったほうがいい」という雰囲気を感じ始めたことから、お母さんにカミソリをドラッグストアで購入してもらい、その日の夜、一人お風呂場で慣れない手つきで初めて毛を剃りました。
肌を痛みつける感覚と、なんとなく毛が太くなっていく感覚があり、剃って一時的に毛がなくなることへの快感や満足感は、あまり得られなかったことを覚えています。
ですが、毛が生えることで周りからイヤな視線を向けられるよりは剃ったほうがいいと感じ、「毛を剃ることは仕方ないこと」として、自分のなかで消化していました。
初めての恋人ができたときに悩んだムダ毛処理
大学に進学し、人生で初めて異性の恋人ができました。そのときに一番悩んだことも、毛の処理です。
付き合ってすぐに私はアメリカへ留学に行ったため、1年間遠距離恋愛をしていました。それまでは肉体的な関係はなかったものの、日本で再会したときにはより親密な関係になるだろうと思い、ネットでムダ毛の処理方法などを調べる日々を送っていました。
カミソリで毛の処理を行っていましたが、一晩経てばすぐに伸びてチクチクしてしまう…。相手に不快感を与えてしまわないか、泊まったときはいつ毛を剃ればバレないかなど、いろいろなことを考えていました。
アメリカ滞在中、ブラジリアンワックスをサロンで予約しようとサイトを見ていました。ですが、当時未成年であったため親の同意書が必要だったこと、親にムダ毛について悩んでいることを知られたくなかったこともあり、結局断念することに…。
その後、誰にも知られたくなかったため、一人で1時間も歩いてスーパーマーケットへ行き、除毛クリームを購入。その日の夜にクリームを試してみましたが、肌が荒れてしまったり、きれいに毛がなくなることはなく、毎日どのようにしたら毛がなくなるのかを考える日々でした。
さまざまな方法を試してみましたが、悩みを解決する最善の方法は見つからず、日本に帰国することになったのです。当時の恋人は気にしていないと言ってくれましたが、それでも生えてくるムダ毛に悩まされながら過ごし、結局脱毛サロンへ行くことにしました。
脱毛にかかるコストは約50万円。当時、学生であった私はこの金額に驚かされましたが、毛がなくなるなら…と通うことを決意しました。