こんにちは、垣屋美智子です。現在私はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
「飲みニケーション」といえば社内での同僚や上司・部下とのコミュニケーション手段として使われることが多いですが、今回は社外での飲みニケーションにも目を向けて、いま一度考えてみましょう。
オンラインでは深い関係は構築できない?
最近、「SDGsも一般的に知られるものになってきて、世の中の考え方は随分変わったなぁ」と感じていたところに、すごく残念なSNS投稿を目にしました。
その投稿とは、「深い関係を構築するためには、オンラインではなくまだまだリアルでなければならない」というもの。一見普通の投稿に見えるかもしれませんが、これは残念だなと。
たとえば、食品関係の仕事で試食してもらう必要があるなど、対面というよりは実際にモノを手に取る必要がある場合は別として(それもテクノロジーの使い方と効率化で対面を減らすことはできると思いますが)、普通のデスクワークとミーティングで完結できるはずの仕事において、「対面にならないと深い関係を築けない」とは、どれだけ“飲みニケーション”を中心に仕事をしているのかと思ってしまうのです。
別にそれが悪いことじゃないと考える人も多いと思いますが、昨今のSDGsに照らし合わせて考えると、やっぱり“飲みニケーション”で仕事をすることはあまりよいことではないと私は思います。
金融業界では、10年ほど前から接待は禁止となっています。理由は、それで便宜を図って取引を開始するのがNGだからです。
たとえば、証券アナリストはリサーチが売り物なのに、お客様である投資家と飲みに行くことでアナリストとして点数を貰うのはおかしい話じゃないですか。また、飲みに行ったから上がらない株価でも買い推奨するのはおかしい話じゃないですよね?
つまり、“飲みニケーション”で取引を行うのは、クリーンなパートナーシップではないのです。
ですから、対面じゃないと深い関係を築けないとは、まさに仕事の質ではなく関係性重視な仕事でOKと言っているようで、非常に残念と思った次第です。
飲みニケーションはクリーンではないし、女性には不利
さらに、“飲みニケーション”は女性には不利なんです。ワーキングマザーで夜に飲みに行けないなどもありますが、それはワーキングファーザーも同じこと。
それよりも女性であるがゆえに不利なのが、たとえば、女性が取引先相手の男性に「今度飲みに行きましょうよ」と言うと、「俺のこと好きなの?」と勘違いされることです。
仕事において男女の差別をしてはいけないので、「俺のこと好きなの?」と勘違いする時点で女性差別なんですが、そもそも仕事において接待がセットになっていると、こういう勘違いが起きてしまうわけで、接待がクリーンな取引を妨げていると言えるでしょう。
ちなみに男性が女性を接待するというパターンもあるので、一概に男性だけが勘違いするわけではありません。
しかし私の経験上、まだ仕事において男性を接待するほうが多い印象があります。どちらの性にとって不利か強いて言うと、現状では女性なのではないでしょうか。