こんにちは椎名です。僕は身体の性が女性で、心の性は定めていないセクシャルマイノリティです。現在、とある女性と人生のパートナーとしてふたりで暮らしています。
僕がセクシャルマイノリティであることをオープンにしているのは、こうしてエッセイを書く際やSNS、親しい友人や両親に対して。仕事場では一部の上司と数名の同僚にだけ、こっそりカムアウトをしました。
何度もカムアウトをしてきたなかで、全員ではありませんがカムアウトをした相手が疑問を抱いていることを知りました。それは同性同士のカップルと男女のカップルの付き合い方の違いについてです。
この記事を読んでいるかたの中にも、当事者には聞きにくいけれど疑問を抱いているかたがいらっしゃるかもしれません。
また当事者でも、こういったことをストレートに聞かれて、正直いやな気分を味わったかたもいるでしょう。
だからこそ今回は、検索さえすれば誰もが読むことができるこの場で、「身体の性が同性同士で付き合うって、異性と付き合うのとどう違うのか」という疑問について、僕個人として回答してみましょう。
同性と交際する“メリット”?
身体の性が同性のパートナーと、身体の性が異性のパートナーと交際することの違いを比較する際、違いを“メリット”として表現されることがあります。
実際に「女性同士だとこういうところが便利なんじゃない?」なんて言われることも多いのですが、挙げられるメリットのほとんどは異性と交際しても相手によっては叶うのでは?と、あくまで僕個人として感じます。
たとえば生理への理解について。たしかにお互いの身体が女性だと、パートナーと生理に関する不調に相互的な理解やサポートを得られやすいように見えるでしょう。
しかし生理の不調を単純に“パートナーの体調不良”だと捉えれば、男性であってもパートナーを気遣ったりサポートをすることができると思います。
ふたつめは、同棲時の家事について。女性同士のカップルだと、お互い家事ができて分担が楽そうだと感じるかもしれません。これも必ずしも当てはまるものではありませんよね。男性でも家事が得意なかたもいるし、女性でも家事が苦手なかたは多くいらっしゃいます。
家事の得意不得意は性別ではなく、ひとり暮らしやご実家での家事の経験、考え方によって異なるのではないでしょうか。
次に、服の貸し借りや共用、メイクついて。これも身体が同性であってもサイズや好みによってできない、しないことがあります。
僕と彼女の場合も、メンズ服が好きな僕とフェミニンな印象の服が好きな彼女とでは選ぶ服も全く違うことが多く、共用することはほとんどありません。
異性カップルであっても、パートナーの女性がメンズライクなファッションがであったり、お互いジェンダーレスなデザインの服を好んでいたらシェアをすると思います。コスメに関しても、肌質が異なれば共用しないかもしれません。
強いてメリットを挙げるならば、スパなどで一緒に“女性専用エリア”を利用できることだと思います。
スパも施設によっては水着を着用して男女一緒に楽しめるので、そこまでメリットとはいえないかもしれませんが、個人的にはスパや施設内の仮眠スペース、あまり行かないけれど漫画喫茶などにもある女性専用スペースを一緒に利用できるのは、唯一「メリットだな」と思います。
女性専用スペースがある場所には、「女性専用スペースがあったほうが女性が安心して利用できる」という理由があるのだと考えます。実際、スパの男女共有スペースで岩盤浴着(なかに下着をつけない場合がほとんど)の女性をじろじろ見る男性に気付いてしまうことは、残念ながら珍しくありません。
こうしたかたは男性のなかでも一部だとはわかっていますが、やはり女性専用スペースを利用できたほうが彼女が嫌な目に合うことを避けられる可能性が高いため、僕も安心です。