配偶者との生活がうまくいかず、離婚を前提に別居を考えるのはよくある話。
同居でストレスを溜めながら暮らすより、物理的な距離があるとお互いに頭を冷やせますが、「もういい!」と衝動に任せて家を出てしまうと後で自分が大変な思いをすることもあります。
別居を考えたら、その後どうなるかわからない場合でも「必要なものを確保しておく」ことが肝心です。そこできょうは、別居前にやっておくべき準備について、お伝えします。
別居は冷静さを取り戻す機会
夫や妻に問題がある、または自分のほうに一緒に暮らせない理由があって自宅を出たいと思っても、「無責任と言われる」「逃げ出したと思われる」など、ネガティブな対応を想像するとなかなか動けないですよね。
ストレスを我慢して配偶者と過ごす時間は、物事を冷静に判断する余裕がありません。
「早く何とかしなければ」と問題の解決に向かって行動するエネルギーが生まれる反面、相手の気配が近いとどうしてもメンタルが上下するのは仕方のないことです。
別居は関係からの逃避ではなく、「お互いに冷静さを取り戻す機会」と考えるのが正解。
距離ができれば問題を客観的に見ることができ、離婚に進むか同居に戻るか、気持ちを落ち着けて考えられます。
また、相手の状態や気持ちがどうなのかも離れてみて見えてくるものは多く、ふたりにとって無駄な時間とは決して言えません。
別居にはお金がかかるし大変な点も多いですが、同じ屋根の下で生活を続けて精神的に病んでいくよりずっと前向きな選択。
そして、別居を成功させるために重要なのが準備であり、結末が離婚であってもそうでなくても、今後に備えておくのが正解といえます。
具体的に何をすればいいか、以下よりお伝えします。
「一方的な別居」は後で不利になることも
別居する際にまず気をつけたいのは、「配偶者が気に入らない」「ひとりになりたい」などの自分勝手な理由では認められないことです。
夫婦は「一緒に生活すること(同居義務)」が法律で定められており、配偶者に黙って突然家を出るような別居は、離婚調停や裁判になった場合責めを負うことを避けられません。
別居したい理由を配偶者に説明し、同意の上で進めるのが筋であり、特に子どもがいる場合はどちらと暮らすかを明確にしておく必要があります。
「配偶者が浮気・不倫をしている」「暴力やモラルハラスメントを受けている」など夫婦関係が破たんしている場合は一方的な別居でも認められますが、根拠となる証拠は必ず用意しておきましょう。
自分名義の通帳や実印などは必ず持っていく
銀行や証券会社など、自分名義の口座を持っている人は通帳や印鑑を必ず確保しておきましょう。
配偶者が家計を管理していて自分の通帳や印鑑を持っている場合は、「ローンのプランを見直したい」「給料の振込先を変えたい」など不審に思われない理由を告げて取り返します。
「別居したいから」と正面きって切り出すと、抵抗されて返してもらえない可能性があるので、さり気なく伝えるのがポイントです。
自分が配偶者の通帳などを持っている場合は、別居するときに返しておくのも忘れずに。
一緒に住まないのに相手のお金を一方的に奪うような言動は、たとえ夫婦であっても許されません。
離婚調停などに発展したとき、通帳や印鑑を返さなかったことで経済DVと思われないように気をつけましょう。