「教えてあげたつもり」が…
「妻は昔からお金の計算が苦手で、スーパーの食材に貼ってある割引シールを見てもいくら安くなるかわからず、僕に聞いてくるような状態でした。
僕は計算が得意ですぐ答えられるので、普段から買い物のときは頼られることが多かったですね。
あるとき、妻が運転するクルマを車検のためにガソリンスタンドに持っていったら期日前の割引がいろいろあり、『え、いくら安くなるの?』と妻が混乱していたので、『この額に2を掛けて総額から引けばいい。これくらい小学生でもできるから大丈夫』といつもの調子で答えたら、いきなり不機嫌になって。
妻が黙り込んだので店員さんが慌ててしまい、とりあえずお願いして一緒に来ていたクルマに乗り込みました。
『どうしたんだよ』と妻に聞いたら、『小学生でもできるからって、人前で馬鹿にすることないでしょ。いつもみたいに金額だけさっさと言ってくれたらいいのに』と睨まれました。
恥をかかされたことに怒ったのかと気がつきましたが、計算に弱いのは自分だしいくら安くなるか知りたがっていたし、僕はいつも通りに教えてあげたつもりだったのですよね。
スーパーなら『ありがとう、助かる』と笑顔を返してくれるのに、ここではどうして怒るのか、考えたら妻自身が計算を苦手なことがコンプレックスなのだと気がつきました。人前でこれはまずかったと反省しましたね」(男性/45歳/自営業)
「教えてあげたのに」とこちらの男性は最初怒りを覚えたそうですが、妻の立場で考えると「計算ができない自分を他人にさらされる」ことがどれほどショックかがわかります。
周囲に人がいないスーパーなら素直に感謝できるけど、誰かの前では「ありがとう」の前に心が屈折するのですね。
いつもは笑顔で感謝されるからこそ、こんな場面でも「妻のために」と普段通りに動いてしまい、それが妻を傷つけるのは悲しいですね。
つい見逃してしまうのが、妻がそんな自分に劣等感を抱えている事実です。相手のことを考えるなら、場面によって対応を変えるスマートさも重要かなと感じます。
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