薄れていくものは…(女性/44歳/個人事業主)
「一年前に離婚しました。別れた理由は元夫のモラハラで、自分と同じくらい稼ぐ私が気に入らないのか家事も育児もいっさいやらずに文句ばかり口にする元夫とは、離婚調停を申し立てるほど揉めましたね。
子どもについてはかわいがっていた元夫で、ふたりいる子どもの親権は私が取ったけれど月に2回の面会交流を求められ、それは承諾しました。
子どもたちはまだ小さいので私が待ち合わせの場所まで連れていかねばならず、最初は離婚後も文句を言われるのが嫌で、あえて人目の多いショッピングセンターを指定していました。
面会交流から戻ると子どもたちはどんな様子だったかを報告してくれるのですが、何となく元夫が変わってきたのがわかったのは離婚後3カ月くらいからで、『お母さんの手伝いをしろと言われた』『母の日だからお母さんにプレゼントを渡せと言われた』と、私について話していることがわかって。
面会交流のときは夫の近くまで行くけど親としての会話しかしておらず、目も合わせない状態なので元夫が何を考えているのかわからなかったですね。
『いい父親の顔をして子どもたちを奪おうとしているのでは』と警戒心ばかり湧いていたのですが、そんな素振りはなくあるときは『これ、お父さんから』と私の好きなお店のケーキを子どもたちが持って帰ることもありました。
面会交流について話すので元夫とはLINEでつながっており、『ケーキを受け取った、ありがとう』と送ったらOKのスタンプが返ってきて、ほっとして。
次の待ち合わせで、久しぶりに夫の目を見て『何かあったら連絡してね』と言えました。
子どもたちからの報告は変わらず楽しそうに過ごす内容ばかりで、純粋にそれはうれしいしよかったと心から思います。
そのせいもあってか、元夫に対する嫌悪感や恐怖のようなものが、少しずつ薄れていくのを感じます。
元夫に何があったのかは知らないし、過去に受けたひどい嫌がらせも決して消えないし、心を開けるのかと聞かれたらそうはならないけれど、怯えたり憎んだりするよりはいまの状態はいいですよね…」(女性/44歳/個人事業主)
モラルハラスメントをしていた元配偶者であり、子の面会交流で顔を合わせることすら苦痛であっても、相手の変化を見れば少しずつ意識も違ってきます。
それができるのは物理的な距離のおかげで、元夫の状態を冷静に考えることができるからです。
元夫の真意がどうであれ、見るべきなのは子どもや自分への接し方。その「変化」が続くのであれば、また違う関わり方も、今後は選択肢に入るのかもしれませんね。
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