でもやっぱり、嫌な思いも…
一度だけ、その店舗で同じ時間に相談に来ていた異性カップルの男性がこちらをチラチラと見てきたことがありました。
連れの女性に「あっちの席、見て」とでも言いたげな、ささやくような小さな笑い声を伴うその視線は、正直とても不快で。
それも束の間、そのカップルのもとへ彼らの担当者が現れ自分たちの指輪を選びはじめると、さすがに自分たちの指輪の方が大事だったようでこちらを見なくなりました。
十分不快ではありましたが、直接聞こえるようになにか言われたわけではなかったことと、その分担当してくれたスタッフの方の対応があたたかく丁寧で、僕たちの購入体験をよりよくしようと接してくれたことで、嫌な人のことよりも指輪を選ぶ幸せな瞬間の方がずっと大事だと考え気にしないことにしました。
悩みながらも指輪選びを楽しんでくれている彼女や、ふたりに合う指輪を選ぶ時間はいまだけ。その瞬間を僕は大切にしたい。
あのカップルの男性も、余所見をせずにお相手のかたとの時間に集中したほうがずっと有意義なはず。大事な時間に余所を見ていてはいつかほかのもっと大切なことを取りこぼしてしまいますよ。なんて思います。
指輪選びで感じた新鮮な喜び
僕は普段アクセサリー、特に指輪をつける習慣がなかったので自分の指のサイズすらよくわかっていませんでした。同じ薬指でも、左手と右手ではサイズが違うことも購入する際に知ったくらいです。
そのくらい頓着しないものですから、彼女の正確な指のサイズも知りませんでした。
僕は手の平が厚く、その分指も太い。彼女の手を見て細いなぁと思ってはいたものの、自分のサイズと比較した際にその差に「そんなに指が細いの?」と驚きながらも、永く一緒にいてもまだ知らないことがあったのだなと、嬉しくなりました。
悩み抜いて選んだ指輪は、シンプルなデザインで普段使いに馴染むものに。緩やかなカーブを描くデザインで、彼女のものは表側にダイヤモンドが施されていますが僕はよりシンプルに、表側に石がないものを選びました。
表面と同じくらい、内側の刻印や埋め込む石にも悩みました。文字数が限られたなかで、どんな意味や願いを込めるか。カップルの数だけその意味や願いがあるのが内側の刻印なのです。
結婚記念日はもちろん、出会った日や交際記念日などふたりにとって大切な日を入れてもいいでしょうし、お互いの誕生日を入れるのも素敵です。
イニシャルや好きな単語や思いでの地名を入れてもいいかもしれません。色々なパターンが考えられる分、考えるのがとても楽しかったのを覚えています。
最終的に僕たちはウェディングフォトの撮影日(結婚記念日)と、お互いのイニシャルにふたりの未来を願う意味を込めた単語を刻印。
内側にはふたりが大好きなディズニー作品『アラジン』で王家の宝として登場するブルーダイヤを埋め込んでもらいました。
石は完全に趣味の部分で選んでしまいましたが、それも僕たちらしさかなと思います。