自己犠牲の精神は、問題として自分に返る
ヴェーダ(インドの知恵)には、人の魂は「仕える(つかえる)」性質があると言います。
「子どものために」「家族のために」「会社のために」「社会のために」など、ほかの命に仕えることで僕らの魂は大きな至福の喜びを感じます。
他者の喜びのために生きることで、自分もまた他者に支え助けられ、豊かな関係性が育まれていくのです。
僕は他者の喜びのために生きることが大切なことと、頭では分かっていました。
しかし、自分を満たし整えないまま誰かのため社会のためにとしたことは、我慢の反動が例外なく問題として自分に返ってきました。
たとえば、親(リーダー)が満たされないまま、子ども(部下)のためと自己犠牲から頑張ります。
すると自分の理想、期待通りにならないとき、私はあなたのために頑張っているのに思い通りにならない…という怒りが湧いてくるのです。
あなたは間違っていると怒りをぶつけ、正しさから相手を変えようとすれば、相手は一時的に従うことはあっても心の中では反発し関係性に溝ができます。
怒りを抑圧して「仕方がない」と合理化、自己正当化して自分を慰めても、腹の底から思えないまま。
相手にもよいところがあると頭で美化して、努力、我慢、諦めても、悩み苦しみの連鎖から抜けることはありません。
それが続くと、期待や理想通りにならないのは「自分に能力や愛が足りないから」「自分には何かが足りない、欠けている」と錯覚してしまいます。
足りないものを埋めるためにさらに努力し、我慢したり仕方がないと諦めても、関係性や心の溝、理想と現実のギャップは埋まりませんでした。
その現象は、自分自身に欠けているところや問題があるわけではありません。
倉庫や蔵を改装するためにまず掃除し、場を整えるのと同じです。
自分や相手、現実を変えようとする前に、自分を理解し癒し、満たし、整えること。
すると、川の水が自然と上から下に流れるように、他者の幸せを心から願う気持ちが湧いてきます。
そうすると、「何かしないとうまくいかない」と感じる恐れや、「自分の存在価値がなくなる」不安は消え、人事を尽くして天命を待つようになります。
世界を信じ、人の本質を信じ、他者の喜びのために自分のできることをできるときに、できる限りするプロセスに大きな喜びを感じられるのです。
まずは自分から、癒し、理解し、整えること。改めて大切にしていきたいですね。
きょうの人生のコツ
- 周りにいる人との関係性は、自分自身との関係性の現れ。
- 自分の心を癒し、満たすことで、人の幸せを心から願えるようになる。
きょうもあなたとあなたの大切な人たちが、世界が平和で幸せでありますように。
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