こんにちは、椎名です。僕は身体の性が女性で心の性は定めていないセクシュアルマイノリティで、女性のパートナーと生活をともにしています。
平日の朝、住宅街にあるわが家から駅に向かう途中に登校中の子どもたちに遭遇します。
30半ばの筆者が子どものころにはほとんどなかった、色とりどりのランドセルを背負っているのを見るとほほえましい気持ちになるのと同時に、心の奥に羨ましい気持ちが少しだけ顔を出します。
きょうは、ランドセルなどの商品やサービスといった企業が提供する「ジェンダーレス」と「ナンチャッテダイバーシティな企業」について考えました。
カラフルなランドセルは「ジェンダーレス」?
結論から言うと、ジェンダーレスな側面“も”あると思う。ただ、それだけでもないと思う。
筆者が小学生だったのは1990年代で、育った場所は関東の田舎町でした。幼いころから性別違和があり、いまでは心の性を男女のどちらにも定めないと決めて暮らしています。
クラスで赤・黒以外のランドセルを持った子どもはひとりだけで、それぞれ女子が赤で男子は黒と相場は決まっていました。
そんななか、僕ととても仲良くしてくれた幼馴染のAちゃんは、珍しい横型のくすんだ濃いピンク色のランドセルで通学をしていました。
当時の僕は、身体の性に合わせた赤いランドセルは本心のところではあまり気に入っていませんでした。できることなら黒や紺色、茶色なんかのランドセルを背負って登校してみたかったんです。
幼馴染が背負うみんなと違うランドセルは特別に見え、何より「好きな色を選んだ」からそのランドセルなのだという感じが羨ましかったし、好きな色を選べるということ自体に驚きました。
思えば、戦隊ヒーローのリーダーは赤を担当していることが多く、ピンクも昨年2022年のスーパー戦隊シリーズ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』では男性が担当していました。男の子が赤やピンクを選んでも、なんらおかしいものではありません。
今年2023年の『ひろがるスカイ!プリキュア』の主人公のカラーはブルーで、そもそもプリキュアの初代である『ふたりはプリキュア』には、ブラックもいるのだから女の子が青や黒を選んでもいいはず。
セクシュアルマイノリティの児童をターゲットにした「ジェンダーレス」という枠組みではなく、「身体の性と心の性が一致している男女」も含めてどんな色でも選べるようになった方がずっと自由です。
子育てをしていない筆者には、現状のランドセルが子どもたちにとって最善のカラーバリエーションなのかは正直わかりません。
ただ、2色しか選べなかったころよりはずっとよくなりつつあるのではと思います。
あとはそれを選んだことを否定せず受け入れるような環境を、学校や家庭で大人がつくっていってあげることがとても大切でしょう。