「ジェンダーレス」ではなく「男女兼用」
男女で区別がある学用品のひとつに、スクール水着があります。
筆者はプールの授業が好きだったので、性別違和を感じるものの「それよりもプールに入りたい」という楽観的な部分があったことが幸いし、身体の性に合わせた女性用のスクール水着にはあまり違和感がありませんでした。
スクール水着を扱うフットマーク株式会社は今年、ジェンダーレスの水着ではなく「男女共用」の水着を本格的に販売を開始したことで、発売時いくつかのメディアで取り上げられました。
筆者もメディアで「男女共用」の水着のことを知り、思わず拍手を送りたくなりました。
拍手の理由は、下記の開発の背景にあったこの一文。
男女同じ形にすることで性別による水着の選びにくさを払拭し、内面と外見で性の異なる生徒も迷わず選び着ることができる水着を開発しました。
引用:PR TIMES
これ。これなんです。
学校という狭い世界のなかで、カムアウト(自らの「性的指向」や「性自認」について周囲に告白すること)ができる生徒ばかりとは考えにくい。言いたいけど言えないこともあるし、そもそも言いたくない生徒だっているはず。
そんななかで「ジェンダーレス」の水着を選ぶということは、クラスメイトに「私はセクシュアルマイノリティです」と間接的にカムアウトをすることになるかもしれません。そうなると、選びたくても選べないということが起きてしまいます。
しかし「男女共用」ならば、間接的なカムアウトにはならないので選びやすくなるかもしれない。
セクシュアルマイノリティではなくても、体型や体毛など自分の身体のことで悩むシスジェンダー(心の性と身体の性が一致している人)の生徒も性別問わず選ぶことができるようになると感じました。
実際、学生時代を振り返ると体型が気になることを理由に、プールの授業を休む友人がいたことを思い出しました。
もし僕たちが学生のころにこのような「男女兼用」の水着があったら、あの日授業を休んでいた友人と一緒に授業を受けることができたのかもしれない。
そう考えると、カラフルなランドセル同様、僕が学生のころにもあったらよかったなと思います。
セクシュアルマイノリティだけではなく、身体に悩みや気になることがある全体に寄り添うことで、マイノリティの生徒も一緒に救われるとてもいい事例だと感じました。