ほかの人を介することで(女性/37歳/営業)
「元夫とは調停を経て離婚しましたが、ふたりの子どもはいまも元夫と面会交流を続けています。
離婚の原因は元夫のモラハラで、私が仕事で成功することを『誰のおかげで働けていると思っているのだ』など罵って、家事を押し付けてくる元夫との生活は本当につらかったです。
元夫は子どもたちの前では私を傷つけるようなことはしなかったので、その姿を見られなかったのは、ふたりにとっては幸運だったかもしれません。
一対一のときに口汚く文句を言ってくるため、こっそり録音してそれを調停では提出しました。
ある夜、残業して帰宅したら家のドアにチェーンをかけられており、慌てて元夫に電話すると『家を放って仕事を選ぶなんて最低だ。土下座するなら許してやる』と言われたため、同じ市内にある実家に行き、話を聞いて激怒した父親が自宅に向かって元夫と口論になり、すぐ別居を決めました。
子どもたちはリビングで言い争う父親と義父を見ており、父親が母親を家に入れようとしなかったことも知ったし、『コイツなんて』と私のことを罵倒するのも耳にしたし、私が『お母さんと暮らす?』と尋ねたらうなずいてくれたのは、当然だったと思います。
それでも父親が恋しいのか、別居してしばらくは会いたいと泣く姿を見るのは悲しいしつらかったですね…。
私から離婚調停を申し立て、家庭裁判所に来た元夫はすぐに『子どもたちに会わせろ』と騒いだため、離婚の前に面会交流について決めることになりました。
調停委員のおふたりは、私と元夫の様子、別居に至った経緯や私が提出した暴言の録音などを聞いて、子を連れて1対1で会うことをかなり危惧していました。
それで、『父に同行してもらおうと思います』と提案すると『それがいいですね』となり、元夫は『どうして父親が来るのか』と案の定渋りましたが、調停委員のかたが『あなたの振る舞いを見て、私たちも不安を感じました』とはっきり伝えたら黙ったそうです。
面会交流は月に1回、子どもたちを連れていくときは私の父親が同行すること、帰す時間は厳守することなどを決めました。
「調停での決定なら守らないといけない」と何度も確認されたらしい元夫は、渋々ながら承諾したそうで、ひとまずほっとしました。
調停で自分の言動について『モラルハラスメント』という指摘を調停委員から受けた元夫は、最初のころはそれでも相変わらず私を貶める発言をしていたそうですが、面会交流で私の希望が通ってからはだんだんと大人しくなり、自分の立場のまずさを実感していったようです。
面会交流の日は前の晩から胃が痛く、父親に会えることを楽しみにしている子どもたちのためにもと笑顔で準備をしましたが、両親がいなかったら絶対に無理だったと思います。
子どもたちと約束した公園まで行き、私はクルマのなかで待機。父がふたりを元夫のところまで連れていってくれます。
元夫は私の父親に暴言を吐くようなことはもうなくて、帰宅した子どもたちから聞く様子も不安な要素は減っており、裁判所での調停を通して決めたことが効いているのだと今も思います。
元夫とはその後財産分与でも養育費でも揉めましたが、担当の裁判官が登場して『こう決まっています』と言われたら黙るらしく、最終的に私が譲歩する形で何とか納得を得られて、離婚が成立しました。
父は『お前が折れることはないのに』とため息をついていましたが、言い方は悪いですが『手切れ金と思えば安い』と返したら笑っていました。
話し合いができないような人間性の人とは、裁判所での調停は確実に効果があると実感しています」(女性/37歳/営業)
面会交流で耳にする悩みには、「暴言を吐くような配偶者と1対1で会わないといけない恐怖」があります。
こちらのケースのように身内を頼れる場合は、自分以外の人間が同行すると決めておくのが最善。
お願いできる人がいないときは、第三者が多い場所などを選び、自分の安全を確保することを忘れてはいけません。
調停ではそんな希望も聞いたうえで公平な提案を考えてもらえるため、不安なことは隠さず伝えることが、子どもたちのためにも必須だと筆者は考えます。
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