家を構え長く住んでいると、ご近所さんとのお付き合いも生まれ交流が続きます。
それが楽しいものならいいですが、相手が勝手な事情でこちらの生活を踏み荒らしてくるとき、強気の手段を取りたくても「今後」を考えて悩むという人は多いものです。それでも、何とかしない限りストレスは消えません。
実際に被害に遭ったというご家庭は、ご近所さんとのトラブルにどう向き合ったのか、相手側の驚きの言い訳と対策についてご紹介します。
突然始まった無断駐車
浅野さん(仮名)ご夫婦は、10年前にその土地を購入して新築で家を建て、それから「近くに住むみなさんとは平穏に交流を重ねてきました」と話します。
お互い40歳というご夫婦にはふたりのお子さまがおり、公園で遊ぶときはそこで会う人たちに挨拶を欠かさないこと、ルールやマナーは守ることをきちんと説明してきたおかげか、近所の子ども同士でトラブルになることもなかったそうです。
浅野さん宅が建っているのは周囲も同じく一戸建ての住宅街で、「ここに引っ越す前は街に近いアパートに住んでいて喧騒に悩まされていたため、静かな環境でよかった」と話してくださいました。
そんなご夫婦に突然降ってきたトラブルは、近くに住むかたが「夜になると我が家の駐車場の前に自分のクルマを黙って横付けすること」。
気がついたのは隣に住んでいるかたが「最近◯◯さんのクルマがいつも停まっているけど、話し合いでもしているの?」と不審げな様子で尋ねてきたからで、いつから無断駐車が始まったのか正確にはわからず、「エンジン音が聞こえないように気をつけていたのかもしれませんね」と奥さんは顔をしかめて言っていました。
浅野さん宅の駐車場は歩道から直接乗り込める作りで幅が広く、チェーンを張るためのポールはかなり引っ込んでいるため、軽自動車ならそのまま横付けできます。
それでも歩道にはかなりはみ出すのでまず「駐車は考えられない」のですが、そのかたは軽自動車をチェーンぎりぎりまで寄せて停めている状態でした。
「人の家に無断でクルマを停めるご近所さん」の言い訳
詳しく聞いてみると、無断駐車をするのは浅野さん宅から3軒離れた先の住人で、乗っている軽自動車はそのお孫さんのものであることも把握していました。
毎晩ではなく「週に2日のときもあれば3日続くときもある」と浅野さんは言いますが、無断駐車に気づいてからは何時にクルマを目にしたか、ナンバーを控え写真も撮っているそうです。
近所なら苦情を入れたら済むのではと思いますが、浅野さんご夫婦がすぐに乗り込むのをためらったのは、そのかたが「以前町内会長を務めていた老人で、引退してからも町内会のイベントやゴミ出しのルールなどうるさく口を出しては存在感をアピールしてくる」、いわば幅をきかせるタイプだったから。
その人がほかの住人とたびたびトラブルを起こしており、そのひとつにいまの状況と同じく「自分のクルマを友人宅の前の狭い道路に何時間も放置して苦情を入れられたらキレて返す」エピソードもあったそうです。
「私たちがやめてくださいと言えば何と返してくるか、意地になってそれからも無断駐車を続けることが簡単に想像できて、そうなると警察も巻き込む事態になるし、騒動を起こしたと私たちが居づらくなるのが怖かったですね」と浅野さんの妻は小さな声で漏らしました。
無断駐車の証拠を残すのは警察が介入した場合の証拠になると考えたからで、その最初の対策は成功していたといえます。
自分のすることに歯向かう住人にはまともな話し合いもせず怒鳴り散らして追い返すという話はそれまでも耳にしており、それでもこのままでは自分たちが困るだけなので「まずは事情を聞きに行こう」とご夫婦揃ってそのかたの家を訪ねます。
出てきた老人は、浅野さん夫妻を見て、何を言いに来たかすぐにわかったような渋い顔をしたと浅野さんの奥さんは言いました。
「最近うちの駐車場の前にお孫さんのクルマが停まっているのですが、何かあったのですか?」
浅野さんが「無断駐車」という表現を避け注意深く言葉を選びながら言うと、「ああ、たまにあれの友達が来るからそのために駐車場を空けないといけないからな。それで孫のクルマをそこに置かせてもらっている」と、さも当たり前のように老人は返したそうです。
怒りを堪えながら「うちもクルマを出すときがあるので、あそこに停められると困るのですが」と浅野さんが言うと、「夜遅くにどんな用事があるって言うんだ。もう寝ている時間なのだから構わないだろう」と自分のしていることをまったく悪いと思わない様子で老人は口にしたそうです。