言わないために気をつけたいこと
前述で並べたセクシュアルマイノリティが言われがちなことには、いくつかの理由が考えられます。
異性愛者や身体の性別と性自認とが一致しているシスジェンダーを前提として考えてしまっていたり、セクシュアルマイノリティに対するステレオタイプなイメージを持ってしまっていることが発言の根底にあるのではないでしょうか。
セクシュアルマイノリティとマジョリティは人数が多いか少ないかという違いはあれど、どちらが正しくどちらが間違っていておかしいなんてことはありませんし、ステレオタイプの偏ったイメージはセクシュアルマイノリティ当事者のごく一部を切り取った見方です。
このようなことを言わないように努めるには、異性愛者や身体の性別と性自認とが一致しているシスジェンダーに当てはめて考えず、ステレオタイプに当てはまらない当事者もいると認識していただくことが大切です。
言われて嫌かどうかは人による、という場合も…
同じ言葉でも、当事者によっては受け止め方が真逆になってしまう場合も。
たとえば筆者はカムアウトした際に「なんとなくそうなのかなって思ってたよ」と言われることがあります。
筆者は休日はもちろん職場でもメンズ服を着ていて、髪型もメンズカットにして生活をしています。
なおかつセクシュアルマイノリティであることを積極的に隠さずパートナーとの指輪も左手の薬指に着けているので、言われたときも「まぁ、そうだろうな」程度に思っていて特に嫌だとは思っていません。
しかし当事者のなかの多くはセクシュアルマイノリティであることを絶対にバレたくないと思って、隠しながら仕事や生活をしている人が大半です。
その場合「そうなのかなと思ってた」と言われると、どう感じるでしょうか。
「隠しきれていなかった」「知られたくない人にもバレているかもしれない」と不安にかられてしまうと思います。
このように同じ言葉でも、受け手である当事者がどう在りたいかによって感じ方は真逆になる場合があります。
人間関係を築くなかで大切なこと
自分に当てはめて、「これは言ってしまいそう」と感じた言葉はありましたか?
もしかしたら悪気なくすでに言ってしまっていた、なんてかたもいるかもしれませんね。
今回“あるある”として書かせていただいた言葉以外でも、マジョリティを前提とした考えやステレオタイプな当事者のイメージに当てはめた考えが感じられる発言にはモヤっとすることが多く、ときには傷ついてしまうこともあります。
「この言葉は言ってはいけない」よりも「こういう考えに受け取れる発言はいけない」といった本質的な考え方は、セクシュアルマイノリティに対してだけではなく人間関係を築いていくなかでとても大切なことなのではないかと思います。
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