20歳年上の夫と、マイペース高1息子と暮らすアラフィフ主婦、塩辛いか乃です。
パートナーにはいつまでもキレイでいてほしいと思う人が多いと思うのですが、うちの夫は20歳年上を負い目に感じているせいか「こちら側に寄ってきて、自分の老いを目くらまししたい」と思っている様子。
白髪染めしたり、体形が崩れると嬉しそうに「お前もおばちゃんになったな」「加齢トークができる」とほくそ笑む夫。
結婚当初は32歳と52歳だったわたしたち。当時は結婚式で夫がわたしの父と間違われたり、パパ活疑惑を持たれるのではとデートも人目をはばかったりといろいろありました。
けれど50歳と70歳になると、30歳から50歳への老いと、50歳から70歳への老いってスピードが違う。
30歳過ぎて出産し、子育てで栄養とエネルギーを息子に注ぎまくった出がらしのようなわたしのほうが老化のスピードが速くて、健康オタクで体形維持や体力づくりに励む夫と並んでも夫婦として遜色ないような立派なおばちゃんになってしまいました。
若い人といると自分も若くいられるという話はよく聞きますが、若い側のわたしは若さを吸い取られた気分。「早くこっちの世界に来いよ」という夫の目論見にまんまとハマってしまった気がします。
夫と息子は2人ともおうちでらくちんな格好で過ごすのが大好き。そんな家族に影響され、オシャレよりらくちんな格好を優先するようになったわたしは、最近夫と「ペアルック」をするようになりました。
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結婚18年目の夫との「ペアルック」
その「ペアルック」とは、「夫の綿の肌着」。
夫はワイシャツのしたにいつも「いかにもオヤジ」なUネックの綿肌着を着ていて、暑い季節は帰宅するとその肌着のまま室内で過ごしています。
お風呂に入ったら新しい肌着に着替えて、そのまま就寝。毎日着るので、洗濯していると首周りのスレや傷みに気づき、わたしが買い替えていました。
よく男性は着心地を重視すると聞きますが、夫も気に入ったものをずっと着続けるんですよね。
デザインよりも肌触りとか軽さ着やすさとか、そういう点で気に入れば傷みも気にせず延々と着続けるので、掃除にはうるさい夫ですが肌着などに関しては無頓着です。
そんなことを思いながら洗濯をしていて、ふと思いました。
綿の肌着って着れば着るほど、洗えば洗うほどクタっとして柔らかくなり、肌になじむんですよね。そうか、だからいつまでも着ているのかと、突然腑に落ちたわたし。
とはいえ首周りのスレがひどくなったので、傷みすぎたものを何枚か捨てようかなと思った瞬間にふと「これ、そんなに着心地いいのかな」という想いが脳裏によぎりました。
首周りが傷んでも気にせず毎日着る捨てる前に、ちょっと自分で着てみようかなと思いました。
洗濯しているとはいえ、夫のオヤジ臭が染みついた肌着に袖を通すのは少し抵抗がありましたが、興味に打ち勝てず着てみたところ「なにこれ超気持ちいいじゃん!」と覚醒。
夫が着込んだ綿100%のお古の肌着は、クタクタに薄くなり、身体にフィットするんです。首のスレはあるけれど、家で着る分にはノープロブレム。
そういえば昔は浴衣などもクタクタになるまで着て、それを赤ちゃんの布おむつに使ったなんて話も聞きますが、デリケートな赤ちゃんの肌に当たる布おむつに使う理由がわかるくらいの快適さ。
女性用の肌着って、綿100%のものって見当たらないんですよね。しかも半そでの肌着も少ない。なので綿の肌着なんて小学生以来着ていませんでした。
女性はブラもするし、身体にフィットした服も多く伸縮性も大事なので、選択肢に入りにくいです。
そうして何十年間も綿の肌触りを忘れていたわたしが、夫のお古の肌着の着心地に感動し、さらに「天然繊維って気持ちいい!」と気づいてしまいました。
「おしゃれはガマン」と言いますが、わたしはもうそんなガマンより「ラクちんな服がいい」という年齢。
世のなかの流れも「頑張って着る服」よりも、らくちんで可愛いカジュアル服が主流になっているので、時代の変化もあるのかもしれません。
そんな感じでこっそりと、夫のお下がりを試しに着てみることにしました。
わたしが持っている肌にフィットする肌着は家にいるには窮屈で、着ているフリース素材の長袖Tシャツは、直接肌にあたるとなんとなく不快。
そこで夫の肌着を着てから、フリース素材の長袖を着てみたところ、超快適!肌当たりがよく、汗をかいても不快じゃない。お風呂上りに着ても気持ちよい!
すっかり夫のオヤジ肌着の虜になってしまったわたしは、「もう外には着て行かないほうがいい首の擦れた肌着、何枚かもらうね」と夫に言いました。
すると夫は驚いた顔で「俺のお古を着るの!?」と言いましたが、何十年も着たことがなかった綿の肌着の魅力に覚醒し、特にクタクタが最高に肌に馴染むのだと話しました。
すると夫は「そうだろ。オシャレなんかするより着心地優先で好きな格好をすればいいんだ」とドヤ顔。わたしがまた老いの階段を登ったことも「こっちの世界にきた」と嬉しかったのかもしれません。
わたしはすっかり夫のお古肌着が気に入り…パジャマや部屋着のスウェットのしたに着る肌着としてひと冬過ごしました。
そして夏。暑がりなわたしは毎年、1枚ものの薄い部屋着ワンピースなどで過ごしていたのですが、ついに今年は夫の肌着一枚で過ごしてしまいました。
中年太りのおばさんがノーメイク、ノーブラで夫のU字ネックの肌着を着ている姿はどう考えてもみっともない。けれど、締め付けるものが何もなくて最高なのです。
息子はそれを見るたび「母ちゃん、デブなおじさんみたい」とコメントしますが気にしない。だって楽なんだもん。
そして、夫はその姿を見て苦笑しながら「背中を見てるとオッサンと暮らしているみたいだな」とコメント。
ええ、何とでも言ってください。あなたたちのようにわたしも着心地のよいものを身に着けてリラックスしたいのだ!と思い、思わず口をついて出た言葉は「そうだよ、夫婦でペアルックでいいでしょ」でした。
その言葉に夫は大爆笑。わたしも自分で、我ながらおもしろいことを言うなぁと感心してしまいました。
夫婦喧嘩も多く、最近では息子が成長してつい夫の愚痴を息子にこぼすことも多くなってしまっているので、息子にはフォローのつもりで「ほら、いろいろ愚痴をこぼしているけど、ペアルックするくらい仲がいいのよ」とアピールしてみました。息子は苦笑。
そんな感じで、わたしがどんどん老いのスピードを上げているせいで、まさか自分が想像していなかった形の「ペアルック」まで実現してしまいました。
生き方のベクトルが真逆のわたしたち夫婦は、価値観の違いに激しくぶつかりあった時期が長かったですが、ケンカするにも体力、気力が必要。
血気盛んだったわたしも、毎度同じことでケンカする時間も体力も気力も無駄に思えてきてしまいました。
夫もわたしにいろいろ期待や言いたいことはあると思いますが、お互い「ぶつかっても無駄」ということを学んでしまったというか。
根本的な価値観が違いすぎるので、そこに突っ込んでも仕方ない。だったら「まぁそこそこでうまくやろうよ」みたいな空気感がここ数年で出てきて、ゴツゴツしていた河原の石が、激しくぶつかりあって、徐々に角が取れて丸くなるような、お互いそんな丸さが出てきたかなと思います。
わたしのおばちゃん化が激しいのはもちろんですが、そういう「丸さが出た」からこその「オヤジ肌着ペアルック」で笑える関係になったのかなぁと思います。
「嫌なことは嫌!」と我慢が効かないわたし。何度も「もう無理!」と思ったし、いまでも思うこともありますが、ここまで赤の他人と暮らし、いろいろなぶつかり合いを経て長く関係を続けるなんて経験は結婚以外ではできません。
飽きっぽく忍耐力のないわたしは、嫌なことを頑張りつづける経験は少なかったのですが、試行錯誤しながら長く続けてみて、初めてわかることもあるんだなぁとしみじみします。
とはいえ、価値観の相違がなくなるわけではなく、まだまだケンカも絶えないですが、家族のなかに「まぁいいじゃん」なゆるさが出てきて、数年前よりずっと居心地がよくなったかなと思います。
今年で結婚18年を迎えるわたしたち。若者と中年夫婦から、中年と老人夫婦になりました。今後10年で、老人同士の夫婦になるわけです。
これから先、どんな風に過ごしていくのか、恐ろしくもあり、楽しみでもあるきょうこのごろです。
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