社内恋愛は、相手との距離が近いのがメリットである反面、何かあれば気まずさや衝突を避けられない点が大変なところ。
自分はきっぱりとした態度を取っていても、相手が歪んだ思いを抱えていればネガティブな事態に巻き込まれることもあります。
恋愛は個人の問題ですが、それを理解していない同僚にはどう対応すればいいのでしょうか?今回は、とある女性の身に実際に起こったトラブルをご紹介します。
「仕事仲間」として仲良くしていた同僚
真由美さん(仮名/32歳)は、正社員として入ったデザイン会社で営業を担当していました。
「人と話すのが好き」と話す真由美さんは、クライアントからの要望をデザイナーに伝え、みんなでよい作品を作り上げていく過程に大きなやりがいを感じていたそうです。
真由美さんの会社のデザイナーには個性的な人が多く、会話が進まない社員とのやり取りはストレスが溜まっていたそうですが、「コミュニケーションスキルを上げるため」と思ってがんばって向き合っていたと言います。
全員進捗の報告と納期だけは守ってくれるのでそれでよかったと思っていた真由美さんですが、そのなかでも2年ほど前に入社したデザイナーの男性社員とは仲がよく、業務がスムーズに進むので真由美さんはいつも感謝していました。
「ちょっと根暗というか、思い込みの激しい部分はあるけれど、私の大変さを理解していてデザインの説明も細かく行ってくれるので、うれしかったですね」と、真由美さんは当時を振り返ります。
気を使うことが多いデザイナーへの対応のなかで、この男性とだけは気軽に話せていたそうです。
無事に納品が完了したときはふたりで打ち上げに行くようになり、距離が近いことは真由美さんも理解していました。
真由美さんは「どこまでも仕事仲間としての好意」しか持っていなかったと言いますが、そうでなかったのはこの男性のほうでした。
突然の告白を断ってから…
「ある金曜日の夜に飲みに誘われて、『付き合ってほしい』と言われました。好意を向けられているのは感じていましたが、自分ではうまくかわしていたつもりで、それがかえってこの人を追い詰めたのかなとそのときは思いましたね…。付き合うつもりはなかったので、その場で丁寧にお断りしました」
会社で気まずい仲になるのが嫌で、真由美さんは必死に「嫌いとかそういうわけじゃなくて社内恋愛はしない主義だから」と、自分の事情で断る体を保ったと言います。
「『これからも一緒にいい仕事をしていきたい』と言ったら、彼も『わかった』と答えてくれて、そのときは特におかしな空気になることもなくお酒を飲んで解散しました。だから会社でも大丈夫だろうと思っていたのですが…」
そう思っていた真由美さんの気持ちに反して、次の週から男性の態度が変わりました。
挨拶はするけれど目を合わせない、社内業務のメモを残しても内線をかけてこないなど、明らかに真由美さんを避ける様子が見えたそうです。
仕事の面でも退社時間ギリギリまで報告がないなど、告白を断られたショックは想像できるとしても「社会人としてそれはどうなのだろう」と腹が立った真由美さんは、退社後の彼をつかまえて「困っているから、せめて会社ではちゃんとしてほしい」とお願いしたそうです。
そのときの男性は、目をそらしながらまた『わかった』と言うだけで、謝罪はせずにさっさと離れようとし、その姿を見た真由美さんはもう最低限の関わりにしようと決めました。
次の日からは以前と同じように連絡もすぐくれるようになったという彼ですが、そのころから社内ではおかしな噂が流れ始めました。
「私について、『元彼につきまとわれているらしい』とか『男関係がだらしないからそうなる』とか、男性社員たちが陰で言ってるよって別の部署の友人が教えてくれました。ありもしない話で、何で急にそんな噂が生まれたのだろうと疑問でした」