こんにちは、椎名です。おしゃれな人になりたい。憧れの誰かのように、もしくは漠然とした理想としてファッションを通じて素敵な自分になりたいと思うかたは多いのではないかと思います。
今回は「おしゃれになる方法」について、元・ファッションに無頓着だった筆者が考えてみました。
僕は、女性の身体で生まれたセクシュアルマイノリティ。レディース向けのファッションに興味が持てず、20代中頃までファッションをあまり楽しめていませんでした。
当然服装も垢抜けない、ファッションに関しては大学デビューや社会人デビューも失敗していたタイプです。
パンツは必ず丈詰めが必要な157cm。ぽっちゃりとしていて、服選びは体形をカバーできることが最優先。特に学生時代は、いまほど女性がメンズ服を着ることが主流でなかったことも手伝って、自分に似合う服どころか、自分がどんな服が好きなのかすら正直よくわかっていませんでした。
それでも漠然と、「おしゃれになりたい」と思い続けていました。
おしゃれになるために、「この春のトレンドを押さえるならこの1枚!」といった服はあっても、「これさえ着ていればおしゃれ」という便利で簡単な服はありません。
シンデレラのように、たったそのひとときだけ「おしゃれな人」になれればいいのであれば、トレンドだけ押さえた服でいいのかもしれません。
しかし本当に「おしゃれな人」になりたいのならば、僕は2つのことが必要だと考えています。それらを同じくシンデレラに例えるならば、「魔法」と「ガラスの靴」です。
おしゃれになるための「魔法」
おしゃれになるために必要な「魔法」は、「服を好きになって楽しむこと」。
「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったもので、好きなことやものは何事も長続きするものです。
これは、ファッションについても言えることだと思います。
服が好きだから似合うようになるのか、似合う服に出会ったから好きになるのかわかりませんが、まずは好きになって楽しんでみるということがおしゃれな人になるための第一歩。
僕がファッションを好きになったきっかけは、UNIQLOから当時「パックT」と呼ばれるメンズTシャツが発売されたことでした。
パックT以降、女性がメンズ服を着ることが急速に一般化し、流行りを口実にもできたので、僕も堂々とメンズ服を着ることができるように。
そのころから一気にファッションを楽しめるようになり、どんどん好きになったのです。
「おしゃれな自分」を恥ずかしがらない
僕がファッションを楽しめていなかったころ、自分がおしゃれをすることに対して気恥ずかしさやネガティブな感情を抱いていました。
「ダサい僕が服を好きなんて」「素敵な服には、着ている自分が負けてしまう」、もしくは「ずいぶんおしゃれしちゃって、なんて周りからからかわれるのでは?」と考えてしまっていました。
ファッションを楽しめるようになってから気づいたのですが、見た目をよくすることを恥ずかしがって自分から遠ざけてしまっていては、「おしゃれな自分」のことも遠ざけてしまっているのですから、おしゃれになれないのも当たり前。
だから恥ずかしがっている内は、おしゃれは手に入らないのかもしれません。
見た目をよくすることは、恥ずかしいことでもかっこわるいことでもありません。誰になんと言われても、とても素敵なことなのです。
「ガラスの靴」に出会うこと
おしゃれになるために必要なものの「ガラスの靴」は、心から惹かれたり、身につけた瞬間にときめくようなアイテムに出会うこと。
試着室ほど残酷な場所はないと、ふと思うことがあります。
試着室に備え付けられた姿見で自分を見ると、なぜか自宅で見る姿見よりもずっと身体のラインが酷く見えて、「これがお前の本当の姿だよ」なんて言われているような気がしてきます。
きっとこの記事を読んでくださっているかたのなかにも、そんな風に感じたことがあるかたがたくさんいらっしゃるかと思います。
そんな試着室でも、試着した瞬間に「これは!」と感じるアイテムに出会うことがあります。僕もあるブランドでスウェットパンツを試着したときに体験しました。
ライトグレーのスウェットで、これまで何度かほしいと思っていたのですがなかなか似合うと一本に出会えず、諦めていたアイテムでした。
この日もまた似合わないかもと思いましたが、この一本はとても似合って見えました。
着用時のシルエットがまさに求めていたもので、履いた瞬間スウェットがほんの少しだけ輝いたと感じるくらい、ちょっとした感動をおぼえました。
このスウェットのように、好きでなおかつ似合うアイテムに出会うと、そのアイテムを主軸にコーディネートを組み立てていったり、着ること自体がとても楽しみになったりして、さらにファッションが楽しくなり、もっと好きになる。
そして、また別のガラスの靴に出会いたくなるのです。
ガラスの靴の出会い方
では、そんなガラスの靴を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。
このときのように、ガラスの靴のようなアイテムはある日突然、目の前に現われることがあります。
しかしただ待っているだけで見つかるものではなく、探しにいかなければなかなか見つかるものではありません。
先ほど例にあげたスウェット。これもひとえにスウェットと言っても、シルエットも色もメーカーやブランド毎に微妙に異なりさまざまです。
似合うスウェットもあれば似合わないスウェットもあって、そのなかから本当に気に入ったり似合うものを探し出すのですから、「ガラスの靴」と言うよりも、もはや金脈などを探す方がたとえとしては合っているかもしれません。
自分に合うものを探し出すには、正直時間がかかり、人によっては面倒で、ときに退屈で苦痛を伴うものかもしれません。
それでも勇気を出して声をかけなければ友達にはなれないし、宝くじは買わないと当たらないように、探さなければガラスの靴は見つからない。
だからこそ、「好きこそものの上手なれ」ではありませんが、「ファッションが好き」という気持ちが必要なのです。
好きで楽しみながら探し続けるから、見つかりやすくなると僕は考えています。
さいごに
序盤のファッションを好きになることについて一点だけ補足をすると、ファッションを好きになるといっても、ファッションオタクになる必要はないということ。
ものすごく詳しくなくてもOK。必要な知識は必要や興味に応じて少しずつ覚えていけばいいし、おしゃれをする頻度も「休日だけ」だけでもOKです。
おしゃれをする頻度や度合いは、自分で決めていい。とっても詳しくなくても、休日だけのおしゃれでも、好きだという気持ちは変わらないのですから。
たとえば部屋着。リラクシングで着心地重視のベーシックな部屋着も、可愛いパジャマも、どちらもとても素敵だと思います。
僕も「コンディション最悪な朝も素敵に見える、それでいて着心地のいいもの」という基準でパジャマを選んだことがあります。
購入したのは、韓国に店を構える「House of Jeeneegu(ジューニージュ)」。
生地が柔らかくて着心地がよく、デザインも韓国っぽいアンニュイな雰囲気が素敵で気に入って愛用していますが、一方でもう何年着古したかわからないトレーニングウェアとロンTを部屋着にして過ごす日もあります。
ファッションを好きになって、いつのまにか自然に楽しめるようになったいま。
これからももっとおしゃれな人になりたいけれど、自分のペースでおしゃれをもっと楽しみたい気持ちのほうがいまは強いなと感じています。
巡る季節に併せて、また新しいガラスの靴のような一着も探しにいきたいです。
もうすでにそんなアイテムには出会っていますが、僕はシンデレラではないのでガラスの靴は何足あってもいいのです。
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