SNSやTVで話題の「退職代行」。過酷な労働環境やパワハラなどで悩み、いますぐ辞めたいけれど直接交渉するのは無理という方の強い味方です。
利用者が増えている印象ですが、まだまだ一般的ではないこのサービス。「利用したいけれど実態はどうなの?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこでWebメディア「by them」は、2020年以降に退職代行を利用したことがある男女100名にアンケートを実施。
おすすめの退職代行会社や、利用した退職代行会社、退職代行を利用した理由、どこまで代行してくれたのか、どのくらいで辞めることができたのかなど徹底調査しました。
そもそも「退職代行」とは?
「退職代行」とは、退職の意思を退職希望者の代わりに会社へ伝え、退職にまつわる手続きをすべて代行してくれるサービスのこと。
話し合いに応じてくれない、退職届を受け取ってくれない、引き留めにあってしまう、上司や同僚と顔を合わせるのが怖い…という場合は、退職代行を利用するのもひとつの手。
よく「退職代行は違法」という声も聞きますが、どうなのでしょうか?
フォーゲル綜合法律事務所代表・嵩原氏によると、退職代行の運営元は「弁護士」「労働組合」「民間企業」の3つに分類されるそうで、弁護士資格をもつ弁護士以外の退職代行の場合、サービス内容によって違法か合法か変わってくるそう。
弁護士以外の者が退職に伴う交渉・請求を行うと「非弁行為」にあたり、違法となるケースも…。しかし、非弁行為を行わない限り、退職代行サービスそのものは違法ではありません。
なぜ「退職代行」を利用したの?
さっそく、アンケートで伺った「退職代行を利用した理由」をいくつかご紹介します。
無理な仕事量で、残業は多く、家に帰っても仕事に追われてプライベートはありませんでした。
入社から1年経ったころ辞める旨を上司に伝えましたが、人事や上司に「1年できたんだからまだできるだろ。しんどいのはみんな同じだ。お前だけじゃないから辞めることは許さない」と言われました。
仕方なくその後も何とか仕事を続けましたが、だんだん上司の口調も強くなり、ミスがあると会議室に呼ばれて怒られる日々が続いて…。
精神的にキツくなり、退職を決心。以前却下されたので、退職代行会社に依頼して、無事に退職できました。
(25歳女性/勤続年数1年)
残業は多く、給与は低いし、残業代もつかず、上司はかなり自分勝手でパワハラ気質。ストレスで吐き気がするほど、精神的にも追い詰められていました。
出社するのが本当に嫌で、何度も「辞めたいと伝えたい」と思いましたが、言い出せない雰囲気で…。
休日も会社のことを考えるだけで気分が暗くなるし、だからと言って忘れることもできず、楽しくない毎日。
退職代行に対して以前は抵抗もありましたが、このときは藁にもすがる思いだったし、本当に助けてほしいという気持ちでした。
退職代行は最終手段にしようという思いはあったので、どうにか自分で穏便に辞めることはできないかと考えて試行錯誤しましたが、やはりどうすることもできないまま時間だけが過ぎていってしまったので、代行してもらうことに決めました。
(34歳女性/勤続年数1年)
折を見て何度も「退職したい」と伝えていましたが、その度に有耶無耶にされていて…。そのうち、昔の失敗を持ち出して「退職するなら損害を賠償してもらうぞ」と脅されるようになりました。
営業職なのでノルマをクリアするのが当たり前かもしれませんが、ノルマをクリアするための予定契約数を下回ると「契約できるまで帰社するな」と言われ、深夜まで会社に戻れないことも少なくありませんでした。
きょう契約するのは無理だと会社に連絡入れるのですが、契約を取れないことに対する暴言だけでなく、私の人間性や両親のことまで侮辱するので泣いてしまうことも多々ありました。
もちろん残業代が出るわけもなく、薄給。経済的にも精神的にも肉体的にも限界となり、弁護士に依頼しようと思いました。
(22歳男性/勤続年数2年)
休暇も取得できず、毎日夕方から急な仕事を振られ、毎晩22時過ぎるまでの残業を虐げられ、家族との時間がとれませんでした。
自分の人生の在り方について考え直した結果、転職して別の環境に身を置いた方がよいと考え、上席に複数回相談しましたが、人手不足や日ごろの成果を棚にあげられて毎回流されてしまい、違法にならない範囲で誰かに退職の手続きやサポートをしてほしいと思っていました。
退職代行では、退職の手続きだけでなく、本当に向いている仕事をすぐに判別してくれる適性診断の案内を受けることができたり、転職先の企業情報など共有していただける有難いサービスもあったため、退職代行を使ってよかったなと思います。
(27歳男性/勤続年数5年)
毎日22時過ぎまで続く残業が常態化し、休息もままならない生活を送っていました。
さらに、50代の男性上司からのパワハラがエスカレートし、朝の挨拶ひとつで冷たい視線を浴びせられることも度々あり…。
些細なミスでさえ容赦なく責め立てられ、会議では私の意見だけ完全に無視されるなど、精神的に追い詰められる日々でした。
毎日仕事に行くのが恐怖で、眠れない夜が続きました。ある日、ふと「なぜこのような環境で働き続けなければならないのか」と思い、退職方法について調べました。
自分で退職の意思を伝えるのが怖くて、会社を辞める決断をするのもひとりでは難しかったため、退職代行の存在はまさに救いでした。
(25歳男性/勤続年数1年半)
直属の上司からはパワハラを日常的に受け、別部署の部長からはお腹をつまんできたり、「痩せろ」と言ってきたりと、セクハラ行為を受けていました。
さらに、退職願を提出しても代わりの職員が入社するまでは受理してくれない会社でした。
そうした毎日が嫌になってしまい、転職先を決めたのですが、転職先の入社時期もあり自分自身で退職をすることはできないと感じました。
そんなときに退職代行があったことを思い出し、最後の手段として利用しようと思いました。
(47歳女性/勤続年数12年)
入社以来、上司から理不尽な叱責や暴言、無視などのパワハラを受けていました。
最初は我慢していましたが、次第に精神的に追い詰められ、体調を崩すようになってしまいました。
会社に相談しても改善が見られず、このままでは心身ともに壊れてしまうと思い、退職を決意しました。
長時間労働が当たり前で、サービス残業も常態化していました。休日出勤も頻繁にあり、自分の時間がほとんど持てませんでした。
また、有給休暇の取得も難しく、心身ともに休まる時間がありませんでした。会社でのキャリアパスが見えず、将来への不安を抱えていました。
このまま働き続けても、給与や待遇が向上する見込みは薄く、自分が本当にやりたい仕事もできそうにありませんでした。
これらの理由から、自分ひとりで退職するのは困難だと判断し、退職代行を利用することにしました。
(37歳男性/勤続年数5年)
「退職代行」はどこまでやってくれるの?即日辞められる?
退職代行会社はどこまでやってくれるのか、そしてどのくらいで辞められるのか気になる人も多いですよね。
利用者に利用した際の流れを教えてもらいました。こちらもいくつかご紹介します。
退職代行を利用した当日中に、会社に退職の意向を伝えていただき、本退職はその2日後に済ますことができました。
すべてLINEで完結したため、会長やそのほかの上司に一切関わることなく退職できたことは、非常に助かりましたね…。
必要な書類の説明も丁寧にしていただき、法的には全く問題なく退職することができました。
(23歳男性/勤続年数1年)
退職代行に相談してから約2カ月で、円満に退職することができました。
まず電話で相談し、見積もりをもらいました。その後、契約を結び、退職代行業者が会社や上司に関する情報収集を行い、会社と交渉。
交渉の結果、退職時期や未払い残業代、退職証明書発行の有無などについて合意され、退職代行業者が代理で退職届を提出することで、希望通りの時期に退職することができました。
(37歳男性/勤続年数5年)
退職代行を利用してから4日ほどで退職できました。
会社に私物が置いてあったので、すべて郵送で送ってもらうことまでお話してくれたので、私が直接会社と連絡を取ることはなく、スムーズでした。
退職後の離職票なども会社は適切なタイミングで送ってくれ、何も不自由なかったです。
ひとりでは辞められなかった会社ですが、退職代行を使うことですぐに退職できて、精神的にもとても安心しました。
使ってよかったととても思っていますし、本当に感謝しています。
(25歳女性/勤続年数3年)
まず、LINEで無料相談を利用しました。
いまの状況を伝えたところ、退職代行会社からは「確実に退職できますから安心してお任せください」と、心強いお返事をいただき、安心しましたね…。
正式に依頼し、依頼日から退職日までは出勤しないこと、退職日までは有休を行使すること、職場への返却物や職場から私に返却する物など、すべての手続きを退職代行を通して私に伝えるようにしていただきました。
結果、退職代行の依頼から退職までは2週間で済みました。
(45歳男性/勤続年数10年)
会社から「損害賠償の請求を盾に退職できないと言われている」など、会社での私の状態を伝えると、即日会社に書面で連絡してくれました。
離職票や資格喪失連絡票など、退職関係書類を揃えてくれただけでなく、有給消化や未払い残業代の給付まで話をつけてくれて…。
依頼から3日後に、退職関係の事務手続きが終了した連絡を受けました。
辞めた会社から自分に連絡がないだけでなく、心配させたくない両親にも連絡がなくて大変助かりました。
(22歳男性/勤続年数1年)
退職代行を利用してから4日間で退職できました。
木曜日に退職代行に連絡し、次の日には詳細ヒアリングとして打ち合わせをしてくださり、退職までの流れの説明を受けました。
金曜日には引越し業者まで手配していただき、土日で退去と新生活の環境を整えました。
月曜日には退職代行業者から会社に連絡してくださり、当日中に正式な退職が承認されました。
上司や会社側と一言も話すことなく、退職の承認通知をもらえたので大変感謝しています。
(28歳男性/勤続年数6年)
「退職代行」を利用した人の口コミや感想
実際に退職代行を利用した人たちは、利用した際や利用後にどんな感想を抱いているのでしょうか?
退職することを決めた日は、電話口で言われもない罵倒をされた後だったので、心身ともに限界が来ていて、「もう会社に行かないためにはどうしたらいいか」という思考で頭がいっぱいでした。
そんななかX(旧Twitter)で退職代行トリケシの「即日退社可能」という文言を見たときには、心がとにかく踊ったのを覚えています。
退職代行の方とは直接電話で話したわけではありませんが、文字上で真摯に対応してくださり、ストレスなく退職できたことに深く感謝をしています。
(23歳女性/勤続1年)
本当に藁にもすがる気持ちだったし、一刻も早く会社を辞めたいという気持ちばかりで、少しでも早く解放されたいと思っていました。
しかし、退職代行を使うことは恥ずかしかったり、人としてどうなのかなと思っていた時期もあったので、使うかどうか悩んだりもして…。
思いきって利用したときは、本当に救いの手に見えました。スムーズにサクサクと話が進んでいったのでありがたかったです。
(31歳男性/勤続年数3年)
本当に退職ができるのか不安でしたが、退職代行の方の「安心して頼ってほしい」という一言が心強かったです。
職場との対応や交渉を、とてもスムーズにしてもらえました。
一番願っていた「職場と関わらない形で退職を迎える」が叶い、精神的なプレッシャーなく退職できて安心しています。
退職したくてもできないでいる人は、迷わず利用するのをおすすめします。
(40歳男性/勤続年数8年)
いまの自分の状況や会社のことを細かくヒアリングしてくださって、安心できました。
ほかにも、適正な職業を診断できる適正診断が無料で受診できたので、次の業界の手立てと自己分析を行うこともできました。
ストレスとなっていた会社への対話も私の見えないところで済ませてくださり、大変気持ちが救われましたし、有り難いサービスだと実感しましたね。
細かな進捗連絡や情報連絡もいただけましたし、何よりもスムーズに退職できたので大満足です!あわない会社で無理に働く必要はなかったなとスッキリしています。
(27歳男性/勤続年数5年)
どこの会社を利用した?利用者に聞いたおすすめの「退職代行会社」
最後に、利用した代行会社についてアンケートを取りました。
結果は、「退職代行ガーディアン」で29名、「フォーゲル綜合法律事務所」で16名、「退職代行 モームリ」で12名でした。
そのほかは「退職代行 jobs(10名)」、「弁護士法人みやび(7名)」、「退職代行 EXIT(7名)」、「退職代行 トリケシ(5名)」、「退職代行 辞めるんです(4名)」、「退職代行 ニチロー(4名)」、「退職代行リーガルジャパン(3名)」、「退職代行 ニコイチ(3名)」でした。
今回挙がった退職代行を冒頭でお話しした、「弁護士」「労働組合」「民間企業」の3つに分類すると、
- 弁護士:フォーゲル綜合法律事務所、弁護士法人みやび
- 労働組合:退職 代行ガーディアン、退職代行 jobs、退職代行 トリケシ、退職代行 ニチロー、退職代行リーガルジャパン
- 民間企業:退職代行 モームリ、退職代行 EXIT、退職代行 辞めるんです、退職代行 ニコイチ
選び方ですが、いまの勤め先がどのような会社か、そしてどんなことを依頼したいかによっておすすめの代行会社が異なります。
ただ「辞めたい」と伝えるだけであれば、費用が安く済むので民間企業の代行会社がおすすめ。
有給休暇や未払い給料などの交渉をしたいのであれば、労働組合や弁護士ではないと対応ができないので注意が必要。弁護士への依頼は費用が高いので、交渉レベルであれば労働組合がよいです。
さらに訴訟にも対応してほしいという方は弁護士一択。ただ、交渉や訴訟への対応には別途費用がかかるので事前に確認しておきましょう。
- いま悩んでいたり、不安を抱えているかたは、相談窓口の利用もできます
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
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